首都アルキヤ 二
「酒場ですか?」
ジャイーダがとまどった顔をした。
「あの、お酒をお飲みになりたいのでしたら、食事の時に出していますが、あれでは足りないのでしょうか?」
「いえ、そうではなく、その……、男達が喜ぶ不健全な場所はないのですか?」
ジャイーダが一瞬、きょとんとした顔した。そして、ぽっと頬をそめる。
だぁ、そそられるねぇ!
なんてまあ、いろっぺぇんだ!
俺が犬じゃなかったら、早速くどいてるぜ。
あ、その前に佐百合の目の届かない所にいかなきゃな。
「まあ、ほほほ。ありますよ。でも、申し訳ないのですが、私には案内出来ませんの。そうですね、書記官のカスケルに案内させましょう」
俺は不健全な場所に早く行きたかったがカスケルにも都合があるらしい。後日、カスケルの都合がついたらという話になった。
ジャイーダは農場や牧場、様々な工房に俺達を連れて行った。生真面目な佐百合はその一つ一つに興味を持ち自分の知識と照らし合わせて助言出来ないかと考えているようだった。
俺が羽目を外せずにジリジリしていた或る夜、やっとカスケルが迎えにやって来た。
書記官カスケルは、いわゆる男同士でなければ行けない場所に俺を連れて行った。
佐百合も行きたがったが、女性が行ってはいけない場所だと諭され、仕方なく族長の屋敷に残った。
場所が場所なので、数人の兵士も一緒だ。兵士達はもちろん私服だ。
「これから行く場所は、やっかいな場所です。あなたが異世界人だとわかると誘拐されるかもしれません。なんといっても、異世界の知識は貴重ですからね。ですから、決して異世界の人間だと悟られないようにしてください」
「わかった。気をつけるよ」
「本当に気をつけて下さいよ。バレたら大騒ぎになりますからね」
書記官カスケルがくどくどと俺に注意する。
こういうタイプっているんだよね、自分に責任がかからないように必死になる奴。世界が変わっても公務員の性格は変わらないようだ。
しかし、これから行く場所であんなことになろうとは、誰一人、思ってもいなかったんだ。
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