手相って当たるんですか?

 4~5年前の事、実家ですっかり物置スペースになってしまっている自分の部屋で、昔読んでいた本の背表紙を懐かしく眺めていたら、中に、クリスマスの包装紙をカバーにしたぶ厚い本を発見。

 何の本だったかな?と思って開けてみると、大学時代の手相サークルでメインで使われていた東洋手相の本だった。

 当時、それなりに勉強した紙が所々はさんであり、懐かしくパラパラ読み返していると、すっかり忘れていることも思い出して、もう一度勉強してみようとその本を持ち帰った。


 以来、他の手相の本も積極的に読むようになり、いろんな方の手のひらが見えたら、その人の人となりと手相を確認するようにもなって、かなり観相力も復活。


 自己紹介などで趣味の話が出た時に、手相の話題を使うようになった。


「手相、観れるんですよ!有料ですけど」


 仕事でしているわけではないので、無料でもかまわないのだけど、

「みて!みて!私も!私も!」

と、収拾がつかなくなることがよくあるので、

一言加えるようにしている。



「手相なんて、当たるんですか?」

一番、良く訊かれる質問。

手相が観れる!って言っている本人なのだから、

「そんなの当たるわけないじゃないですか!」

なんて、答えるわけがない。


「手相占い」としている所も無いわけではないのだけれど、概ね、手相を観ることを仕事としておられる方は「手相鑑定」を使われているはずだ。

 過去~現在までを鑑定するのと、水晶玉に映っている!的な、将来を予言する占いとは、別物だと考えている。


 10分ほど前に、「何とかの母」に観てきてもらったオバサンが、

「あそこ、むっちゃ、当たってたでぇ!」

というのは、過去~現在を言い当てられただけで、将来の占い事をされていたとしても、その占いが当たっていたかどうかは、ある程度の期間が経ってからしか判らないはずだ。


 スプーン曲げたり、宙に浮いたりという手品を見せられて、例えそれが本当に超能力だったとしても、スプーンを曲げられるという能力があるからといって、1年以内に大きな災いが起きるなんて事を予言できる能力とは、全く別物なのだ。

 でも、手品で驚かされて、こんな予言を聞いてしまって、間もなくに地震保険の勧誘があったら、かなり心を動かされて契約してしまいそうだ。

変な壺を売りにきたら、買ってしまうかもしれない。

 手相でもなんでも、特に将来の具体的な出来事を出して不安を煽る占い師がいたら、それこそ、「当たらぬも八卦」と聞き流していた方がいい。

 

 ただ、手相鑑定師の語る将来の事が、全くでたらめか?というと、そうでもない。

 異性と話すのが苦手で、友達も少なくて、でも気が強くて…という見立ての方に、

「婚期が遅くなりそうですね」

位の事は言えるし、実際、そういう方は婚期が遅い傾向にある。


 もし、手相を観てもらう機会があったら、自分の現在をあらためて覚知する、というのをメインにして、将来のことは、天気予報ぐらいのイメージで聞かれたらいいのではないかと思う。


「手相って、変わるんですか?」

 これも、良く聞かれる質問だ。

 わたしは、天気予報ができるわけではないが、手のひらは天気図のようなものだと思っている。

 雨が多いとか台風が来やすいとか、地形そのものは変わらなくて、でも天気図は現在の気象状況を示していて、

「滞っていた台風が、やっと過ぎたみたいですね!」

とかの動きは、手相に現れてくる事が多い。


 「あなたは台風が来やすいから油断しないで!いざという時の準備は怠らないように!」

みたいなアドバイスがちゃんとできるように、もっと修行を積まなければ。


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