◇

 東京、霞が関。行政機関の集中している界隈だが、もちろんその全てが国政であるはずもなく商社ビルもある。

 そして商社ビルを装った行政機関もある。

 竜甲りゅうこ通信本社がその筆頭に当たる。

 二十階建ての高層ビル。

 そこの十四階の女子トイレの一室に、用を足すのではなくずっと携帯電話を見つめている女性がいた――大里たつみ。三十八歳。既婚者。


 ◇

 大里雅也とたつみは姉弟で、由宇ゆうはたつみの娘だった。夫はこの竜甲通信(偽りの社名だが)の重役。彼と交際が始まったのは十九年前、翌年に大里家に籍を入れた。その年に雅也が生まれていた。長らく大里の分家が男子に恵まれず、憂いた両親は四十を超えてようやく雅也を授かった。


 最も、たつみにとって当てつけのように思えた。夫がわざわざ籍を大里家に入れた意味が無いように思えたから。

 嫌気がさし、たつみは東京に行く旨を伝えた。両親がそれをすんなりと認めたのも、たつみにとっては嫌味に思えた。


 彼女の腹に命が宿っていることも伝えると両親は、男だったらいいな、と言う程度だった。


 気に食わなかった。

 女は不要、男は良しとする家。

 たつみには理解しがたい。

 雅也が二十歳になった頃、ようやくその理由は、たつみに明かされた。遅すぎた。彼女の顔にはもう〝笑顔〟しかない。怒りや悲しみの感情は心にあれど、それを表情として出すのが不可能になっていた。名のある病気ではないし、たつみ自身気にしていなかったことだが、社会人として大きな痛手を被っていた。


――どうして出世の話がないのだろう。せっかく取った国家1種が無駄になる。


 ◇

 だがそれは昨日までの想い。

 今の彼女は、眼鏡の奥にある細い目から狂気じみた光を放っていた。笑いを堪えているとは誰も思わないだろう――友の玉緒玲はおろか、夫でさえも。


 彼女は雅也と玲にメールを送った後、携帯電話でニュース速報を見ていた。

 昨晩の同時多発殺傷事件についてのものだった。

 どのサイトでも語られるテーマは同じだった。


〝何故、凶行に? どうやって同時に?〟


 たつみは流石に食傷のような感覚を覚えた。


――こいつらの前にでたら、どうなる事やら。


 トイレに閉じこもって、もう二十分は経っていた。

 携帯の電源をきる。水を流し、用を済ませたように見せ、扉の鍵を開け出た。


「あ、たつみさん、お疲れさまです」

 後輩の女が化粧直しをしていた。たつみは彼女の名前を思い出そうとしたが、思い出せず、なるべく名前に触れないよう返事した。

「ホンマ疲れた。昨日から説明会ばっかり。有事でもないのに」

「有事みたいなものですよ。未成年が同時に、なんてもうテロじゃないですか」

 ファンデーションを塗りながら彼女は言った。

「カムイ使いがあんなことするなんて、前代未聞じゃないですか。で、表は通常報道でしょ。個人的にはそろそろ公表してもいいかなって思うんですけど……犯人、わかったんですか?」

 たつみは手を洗いながら、鏡に向かった。

 

――笑顔の自分がいる。これほど笑ったのは、何十年ぶりだろう?


「私にもわからんのよ、実際」

「たつみさんでも、ですかぁ」と彼女はポーチに化粧品を仕舞った。鏡に映る顔を確かめながら、たつみに尋ねる。

「実は知ってるけど本家ほんけからの圧力、とか?」

「さあね。てかキミ、ずいぶん気合い入れてるなぁ」

「これから新聞屋連中に説明会なんです。ちょっと怖いんですよね、出席者を教えてもらえなくて。課長からは臨機応変に、だけ。急なのは仕方ないですけど、相手によってメイクしないといけないのに……特にツケマ。年配の方には不評なんです。女性ならたつみさんみたいに笑ってくれて場が和むんですけど」

「ツケマつけるか? なんて私の時代にはなかった悩みやから。今もほとんどすっぴん」

「えー、ずるい……あ、伝言です。私の同僚が二人きりでご飯をどうかって。もちろん男ですけど。どうします?」

「ありがたいけど、同業には興味無いんよ」

 ハンカチで手を拭きながら、たつみはトイレから出て行った。「またおこぼれかぁ」と抜けた声が聞こえた。


 ◇

 鼻歌を口ずさみながらエレベーターへ向かうたつみに、多くの人が声を掛けてきた。

「あ、お疲れ様です」

「はいよ。今日も頑張ろう!」とたつみが返すと、

「大里さん。今日、一杯どうです?」

「そういうのは午後に誘って。いつスケジュールの余白が埋まるかわからんもん」

 


 エレベーター内はもっと苛烈だった。

 トイレの個室ほどの密室に六人もの男たちに紛れてたつみは乗った。声をかけてくる者がいないかわりに、軽く体に触れてくる。もちろん悪意の無い者もいるが、完全に悪意のある者もいる。軽く臀部に触れて、すぐ離す。これを目的の階まで繰り返される。


――こんなことして何が楽しい? でも今日はやけに人が多いな。


 十九階にたどり着き、どっと人が降りて行く。たつみも降りた。そして全員が第三号大会議室へ入っていく。

 息をついてから、たつみは会議室に入った。


 円卓にそれぞれ椅子が設けられ、さらにその円卓を取り囲む無数の椅子が置かれている。最初の六人は中央の円卓に、各々の席へと座った。室内に待機していた女性社員がキャスターを押して氷水の入った大瓶とグラスを置いていった。


 たつみは円卓の外からその風景を眺めていた。

「失礼します」と女性社員が頭を下げ、角刈りの男にグラスを置くと彼は手でそれを制した。

 女性社員が下がり、次の男にグラスを置こうとしたが、角刈りの男が声で制した。

「我々は飲み物を持参している。早く退室してくれ」

「は、はい……」と気押されるように女性社員は会議室を後にした。

 静寂が会議室を支配する。

 たつみは外から傍観していた。


「担当者はまだか。何をやっとるんだ」

 禿頭の男が愚痴を吐く。スーツの胸元を探り、シガレットケースを取り出した。

角刈りの男がそれを注意した。

月島つきしまさん、ここは禁煙です。灰皿もありません」

「いいじゃないか。良くも悪くも固いんだよ、牧田まきたくんは」と髭を蓄えた男が言う。

「今の時代、愛煙家は窮屈なんだ……グラスを灰皿代わりにしましょう。皆さん、もっとリラックスしませんか」

「どうせなら酒も欲しいがね。もってないか反田はんだくん」と月島はタバコに火を付けた。

 咳払いをして、反田は首を横に振った。

「じゃ、相田あいだくんは?」

「ははは。流石にそれはダメですよ。一応、公務ですから」と髭を撫でながら相田は言う。


――禿頭が月島外務統括事務次官捕。

――角刈りが空自出身で月島の秘書の牧田。

――タバコ嫌いが反田防衛省防衛局第二副長。

――髭面が相田警察庁公安局第三副局長。

――残りは法務省の役人と牛島官房長官の第三秘書。仲がよさそう。週刊誌に売れるな。写メで玲に送ってやろう。


 ◇

 フラッシュが瞬き、全員がたつみを見た。

 たつみは玲にメールを送りながら起立する。

 送信後、悠々とタバコを吹かす月島に向く。

「気にしないでください。私なんて空気だと思って、ごゆっくりどうぞ」

「ここの関係者だな。名前、所属、階級の順に述べたまえ」と牧田が問う。

 たつみは、敬礼した。

「大里たつみ。御目付役おめつけやくの一羽です。階級はありません。風切かぜきりと呼ばれることはありますが」

「ああ、大里ね」相田が髭を撫でながら、思い出すように呟いた。

 踵を返し、相田は男たちに向かって言った。

「彼女の家は古武術の分家兼、代々日本の相談係らしいです。風切は鳥の風切羽かぜきりばねのことで、飛ぶための必要な羽であることから、最も優れている者につけられる、字名あざならしいです」

「回りくどいな。把握してないはずはないだろ、内務省?」と月島はタバコを吹かした。

「そりゃあ調べればわかりますよ。でもそんな暇は無いんです。この時世に、たかが通り魔の駆除などに」 

 そして相田は両手を円卓の上に置き、黙った。

「聞かなかったことにしますよ、相田さん……では大里御目付役。第0016報告書だが」

 牧田がこの場を仕切り、話を進めた。彼はポケットから携帯電話を取り出し、それをタップした。

「あ、それ」とたつみが漏らす。

「何か?」牧田は携帯電話を見ながら問う。

 たつみは自分の携帯電話を取り出して、見せる。

「ほら、同じ機種で同じ色。古いけど使い易くていいですよね。知ってます? 購入特典のアプリゲーム、規制されてもう手に入らないんですって。今の機種で使えないアプリもチートせずに使える。落としても壊れにくくて。オークションなら十万も――」

「黙れ!」

 牧田の声が会議室に響く。たつみは黙ったが、他の男たちは鼻で笑っていた。

「なあ牧田君、チートって何だね?」

「プログラムの書き換え行為です……ではまず! 総評を告ぐ!」

 声を張り上げる牧田をよそに、月島が甲高く笑っていた。

「この度の件はカムイ使いなる者の仕業であり、その者たちの存在を認めよとの旨が――」


 眼鏡を取り、たつみは胸ポケットから眼鏡拭きを取り出しレンズを拭いていた。

「……何をしている」と牧田が低い声で問う。

「無言の抵抗ってやつです。ガンジーだったかな、あれと同じで」

「客人に向かってその態度はなんだ!」

 眼鏡を掛け直し、たつみは牧田を見据えて言う。

「勘違いしてませんか。私、皆さんに命令はできませんけど、命令を聞く義務もありません。私たちの持つ情報を欲したのは皆さんであり、私は直属の上司に頼まれたからこの場を提供したんです。報告書の主旨なんて知りません」

「時間の無駄だとよくわかった!」

 勢いよく牧田は席を立ち、円卓から離れる。その背に相田が声を掛けた。

「待ちなさい。危険だよ」

「危険? 暗殺者がいて口を封じると仰る?」

「そうだよ。座りなさい」

 肩を竦める動作をして、牧田は笑った。

「内務省などと揶揄する気持ちがわかりますよ。どうせ相田さんはこいつらの事を――」

「さっさと座らんか!」

 怒声に近い相田の声が響き、牧田はしぶしぶ席に座り直した。

 氷水を飲んでから、相田が切り出す。

「済まない。だが少し頭を使ってみたまえ……ここが以前、君のいた空自基地だとしてだ。反逆者がいれば粛清するだろう? 殺さずとも暴行を加えるだろう?」

「もちろんです。当たり前じゃないですか」

「だったら、ここで誰が死のうともおかしくないとは考えられんか。メンバーを見たまえ。特に肩書を。次官待遇以下じゃないか。急病で倒れても代理はきく。メディアの興味も無いに等しい立場だ。巷は例の騒ぎでてんやわんや。だが内閣は月島さんと君をわざわざ送り込んできた……ローリスク・ハイリターンな会合ということじゃないかな」

 男たちの眉間に皺が入るのを見て、たつみは口をはさんだ。

「私は第0016報告書に携わったカラスと同じ出身。それだけで説明会の進行役に挙げられたんです。喧嘩する気などありませんよ」

「その顔で言うことか?」と月島がタバコをもみ消しながら言った。

「にやにや、にやにや……こっちは全く笑えん」


 言葉を打ち消すように、相田が円卓の上に銃を置いた。

 全員の表情が強張り相田と、目の前に置かれた本物の銃を見た。


「皆さん、彼女はさながら神の使い八咫烏ヤタガラス……私たちに悪意などないことを知らせ、腹を割って真実を話せばリスクが減り、有益になる……そう願いませんか」

 すると反田が応じるように上着を脱いだ。彼は革製のホルスターを装着していた。てきぱきと外して円卓の上に置く。

 つられて、法務省の男も懐から銃とナイフを出し、官房長官の秘書も銃を置いた。

 

 月島と牧田は全く動かないので、相田が急かす。

「流れを読みたまえ……大里という女、私の知っている犯罪者によく似ている。常に笑って油断を誘うのは定石だよ」

「……没収されたら、流してもらいます」

 牧田はそう言って、腰の辺りを探り掌に収まるサイズの銃を円卓の上に置いた。

 残るは月島のみ。たつみが眺めていると、男たちは勝手に彼に迫った。


「月島さん」

「早くしないと」

「プライドより命が」

 大きく息を吐いてから、月島はしぶしぶと懐から銃を取り出し円卓に置いた。


 たつみは「ご丁寧に、どうも」と頭を下げてキャスターに向かった。

「ちょっと失礼。水を一杯」

 冷たい氷水をグラスに注ぎ、飲む。

 息が漏れた。嘆息だった。

 その心中は――


――アカン! アカンアカンアカン! ちょっと挑発しただけで拳銃チャカ出す? 公務? どこが公務やねん! ゴッド・ファーザーかアンタら! いつから日本は銃社会になったって、ツッコむ余地も無いし! こなれたように銃を隠し持ってるアンタらこそ異常やろ! 私は感情が顔に出ないだけで心は常識人! 命の切った張ったはやらへん!


 水を飲みほしてハンカチで口を拭い、たつみは円卓にある空席に座った。男たちは、黙って視線を浴びせ、話を待っている。


――最悪! 相田が意思決定サイドブラインドのポジション! しかもどんどん上げてやがるレイズ! 誰がどんな情報チップを出すか、もう全員が疑心暗鬼ポーカーフェイス! 相田のやつ、どんな修羅場テーブルをこなしたか知らんけど、このままじゃ私の考えチップを読まれる! ああ、もうっ! 軍人気質の牧田から取り込む予定ハンド破綻ハイカード


 咳払いをして「では、まず」と、たつみが口を開いた。

「第0016報告書、カムイ使いについてですが、反田さん、わかります?」

 反田は頷いて、ぼそぼそと言った。

「か、書いてある通り、その、当たり前の解釈しか……超能力みたいなものですかね? 若者に催眠術を掛けて、その、犯行をさせたと。この中井という男が」

 言葉を切り、反田は視線を牧田に移した。

 阿吽の呼吸で牧田が言う。

「そんな馬鹿な話がありますか。冗談にもならない」

「末期だな」と月島が吐き捨てるように言った。「人間は小遣いをやれば黙る。が、賄賂なり買収するとだ、野次馬の悲鳴が上がる。きちんと説明する言葉も知らん政治屋の方便さ。ま、裏を読むとカムイか何か知らんが、犯人を射殺したい焦り、暴走か……内務省としてはどう動くかね?」

「月島さん」と相田。「繰り返しますが、うちは暇じゃ無い。ほぼ警視庁と千葉県警の刑事課に委託していますよ」

 制するようにたつみが口を挟む。

「私たちにも下請けがあるんです。第0016報告書はさしずめ下請けから上がってきた原稿を私たちが推敲、編集、パッケージングをしたんです。もっとも、忘れるぐらい昔ですが」

「というと?」牧田が尋ねた。彼は少しばかり虚を突かれたようで、目がぱっちりと明いていた。

「あの報告書、去年のものでした。予定調和だったんですよ。なのに誰も事態の本質を把握できてない……その理由を知っているのは、大里の分家。私のような相談役でもごくごく一部。あとは暇人と……強いて挙げれば、特殊な機関ぐらいですね」

 返答を聞き、牧田は顔をしかめる。

 たつみは「そうですよね?」と相田に向けて言う。

「……」

 相田は無言のまま、髭を撫でていた。

「どういうことですか?」と牧田。

「おいおい、洒落のつもりだったが、本当に内務省の企てだって?」と月島。

 詰め寄られて仕方なく、という風に相田は口を割った。

「うちは国の安全確保を現場レベルで実行しています。国のために犯罪者を利用することもある」

「そりゃそうだがさ? 今回はどう考えてもただの刑事事件だろ?」と月島。

「そうでしょうか。少なくとも、私と彼女はそう思ってない」

 相田の瞳が、たつみを捉えた。


 ――意外とちょろいな、この髭親父。強気に出ただけでもう暴露オールイン

 

 立ち上がって、たつみは懐から万年筆を取り出し、その先端を円卓に立てる。

「私は映画、ドラマ、小説、漫画など、ジャンル問わずあらゆる物語が好きです。ただ歴史物だけ嫌いでして。

 あくまで私見ですが、堕落した貴族による平安時代。内紛状態の戦国時代。テロリストたちの幕末、富国強兵という洗脳の明治、戦勝に湧いた大正。そして大戦で大敗し敗戦国というレッテルを受け入れ、反骨精神を捨てた昭和、平成……時代物はこういったことを風情あるよう演出していて、作者の自慰に見えるんですよね」


 万年筆から手を離すと、かつん、と音を立てて倒れた。

「そんな作者が年表からかいつまんだ英雄譚は現代人に多大な影響をもたらした。

例えば飛行機が米軍に撃墜されたとしましょう。きっと国民は、怖い、で済ます。政府も煽るような事実をおいそれと公表できない。盛り上がったとしてデモぐらいでしょうね――今回はカムイ使いによる犯罪ですが――現状が高度な政治的駆け引きの結晶だと知らない、民主国家はどこもそう。教科書に政治家は登場しませんし思想も書かれていません。結果だけを繰り返し否定するだけ。ていのいい洗脳ですよ、これ。

 今回の事件が平和を揺るがす歴史的大事件では無い、と思ってる時点で平和が何たるか理解できていない証拠。そもそも平和の対義語は戦争でしょうか。国と国の争いだけが戦争とは」

「愚問だ」

 相田が口を出して来たので、たつみは黙った。

「私の同志となるならば全てを教えるが、部外者に言うべきことなどない」


 ――拳銃ブラフにビビって損した。こっちの思惑チップを探るには、情報チップが少なすぎる。それを知られまいと振る舞ってる。でも……。


 満面の笑みを浮かべて、たつみの頬に一筋の汗が流れる。ハンカチでそれを拭う。


――問題は月島。これから相田はピエロに徹して、あのハゲを立てるはず。人脈が広く、慣れてる。目立たないクセにちょくちょく発言して、かつ、いっさいの情報チップを出していない。牧田も加わるだろうし、三人で情報チップを共有されると面倒。


 男たちは息を漏らし、水を飲み始めた。全員、水筒に口をつけながらも相田を見ていた。

「各々、立場があるのです」と牧田が言った。

「学生時代と違い軽々と声にできませんが、本音は――苛立たしい。何故今回、我々がこの程度の事件に駆り出され、超能力だか、カムイだかの説明を受けなければならないのか。しかし狂言かどうかは見聞きし、意見を述べないと判断しかねます」

 新しいタバコに火を着けながら月島が言った。

「右翼思想に思えて、嫌いだがね」

 煙草を指でつまんで、相田に向けた。

「全てを知っているんだな? あんたを信じれば説明するんだな?」

 相田は無言のままで軽く首を縦に振った。


 たつみは眼鏡を取り、拭きながらけんに回る。

――せいぜい、情報チップの見せ合いをすればいい。私はここで任務達成ダウン

 

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