第4話
伊勢市駅に着いたのは、午後五時過ぎだった。伊勢神宮の玄関駅ということもあり、駅前には木製の鳥居が設置されている。
「本当は外宮から内宮に回るのが作法とされているけど、時間がないから内宮の方へ行きましょう」
そう言った少女に連れられバスへと乗り、内宮前に着いたのが六時前。有名な木造橋・宇治橋を渡るとそこからガラッと、空気が変わったように感じられた。形容すれば空気が冷たくなったような。
「そう、ここが神宮。神宮が神宮たる由縁よ」
少女は誇らしげに言う。
「ここで救われた人たちが、どれだけいるかしらね。私自身も、何回もここで救われているわ。いや、神様はただ、その手助けをするだけなのよね」
「海部さん、君は一体、何者なのだ?」
ここまで溜まって来た疑問を、初めて口にした。
「私は、私よ。ただの高校二年生。まあ、情報屋なんてものはやっているけどね」
少女はそっけなく、答えた。
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