24.VS ザ・ヒート

 火口最深部の奥へ向かう。そこはマグマが湖の様に広がり、岩の橋を渡った先に真っ黒な岩場が浮かんでいた。

 その場で何者かが浅黒い肌の青年の首を引き千切り、溶岩の海へと投げ捨てていた。物言わず佇み、火口から暗くなりつつある空を眺める様に上を見上げる。

「ヴァル……くそ! この蜥蜴野郎がぁ!!」傷ついた最後の戦士が、目を血走らせて全身に炎を纏い突撃する。

 静かに戦士に目を向け、小柄な何者かが手を掲げると、火炎の息吹の様な波動を放つ。すると、戦士の炎の衣が剥がれてしまう。

 その瞬間、蜥蜴野郎と呼ばれた者は、格闘家の様に身構え、戦士を思い切り蹴り飛ばした。

「ぐがぁ!!」防ぎ損ね、胸骨が砕け、赤い塊を吐き出しながらヴレイズの足元に転がる。

 格闘家の様な者は興味なさそうにまた空を見上げた。

「あ? あいつは何者だ?!」目を剥き、決闘場中央の赤い者を注意深く眺めた。

「あんな魔物、見たことない……」目を丸くするアリシア。

「グ……あ、あいつが……奴が『ザ・ヒート』だ!」

「え? あれが?! もっとデカいドラゴンを想像していたぞ!!?」

「アレって……人? ゴゴンギャはキングもクイーンもソルジャーも四足歩行のハズ……それにあの背筋、モンキータイプの魔物よりずっと人間っぽいよ……」アリシアはおびえた様に声を震わせた。



 ガイゼル・ボルコンが言うには、この『ザ・ヒート』は突然変異の化け物だった。

 通常、ゴゴンギャはバースマウンテンの岩やマグマ、鉱石を主食としていた。

 だが、この『ザ・ヒート』がキング時代に、火口最深部にしか生成されない『天然ファイアクリスタル』を好んで食べ、体内の灼熱袋と反応し内臓の構造が変化した、と推測されていた。

 それによって通常種よりも寿命、生命力が大幅に強化されている。だが、キングの定めに従いマグマに身を委ね、永い眠りについた。

 はずだった。

 火口最深部の更に地中深くの最高温度のマグマでも死ねず、逆に『熱』を吸収し、そこで突然変異が起こる。

 更に、先代の炎の賢者曰くバースマウンテンのマグマには、山で熱に溶けていった生き物たちの記憶が宿っているらしく、さらにこのボルコンシティでは『溶岩葬』という弔い方をしていた。

 つまり、このバースマウンテンの溶岩には町の先住民や死んでいった戦士、炎の使い手達の記憶や思念が宿っている。

 その『熱』を吸収したキングゴゴンギャは体内で魔石を生成し、更に熱に宿りし戦士たちの記憶までも血肉に変え、蜥蜴の身体を人間に近い直立歩行体に作り替えた、と分析された。

 故にこの『ザ・ヒート』は炎の戦士が身に付けている格闘術『炎牙龍拳』を使いこなす事が出来きた。

 更にこのザ・ヒートは大飯ぐらいで底なしに熱を喰らい続け、山を死に至らしめる程とガイゼルが判断し、18年前に討伐しに当時の戦士と共に戦い、倒しきれず、ついには封印したのだった。



「アリシア……どうする?」ヒートを睨み、腕に魔力を込めるヴレイズ。

「……相手のステージだからね。不利過ぎるよ。ここは態勢を立て直し、戦士たちの力を借りて、誘き出して……」

「誘き出せるのか? こいつの目的はここの熱だ。それ以外に欲しがるものがあるのか?」

「町の文献から探して、罠を張って……」

「そうしている間にも山の熱が奪われていくぞ……見ろ」ヴレイズがマグマを指さす。

 赤々と煮えたぎるマグマは徐々に色を暗くさせ、具合の悪そうな色合いに変わり、周囲の岩壁がパラパラと崩れ始める。

「くっ、本当に山が殺される……っ。どうすればいいの?!」アリシアは弱ったように頭を掻いた。

 ヴレイズは冷や汗を掻きながらも頬を緩ませ、指の骨をバキバキと鳴らした。

「アリシア、援護……いや、俺が殺されそうになった時でいい。その弓で援護してくれ」

「え?」


「俺はこの山で自分を試すつもりだった……こいつに試して貰おうじゃねぇか!」


 ヴレイズは溶岩から放たれる熱気を身体全体で感じ取り、脚からも炎を滲ませ地面を蹴り砕いた。ヒートへ向かって高速で間合いを詰め、拳を構える。

 ヒートはヴレイズに目も向けず、空を眺めたままだったが、赤熱拳が顔面近くまでくると、炎の残像を残して消え、彼の頭上へ瞬時に跳躍し、蹴りを放った。

「炎牙龍・空臥……」傷つきし炎の戦士「ゴレズ」が口を開く。

「えんがりゅう?」アリシアが問う。

「ガイゼル殿の祖父が立ち上げた格闘術の流派だ……ヤツの動きは達人級……彼に勝てるのか?」


「あんなやる気のあるヴレイズを見るのは初めてだから、きっと勝てるよ!」


 ヴレイズは後方へ飛んで避け、いつもの要領で両手から火炎を放った。

「だめだ!」ゴレズが叫ぶ。

 ヒートは襲い来る火炎嵐を避けず、モロに受け止めた。すると炎がヒートの周りでのたうち、纏わりつき、赤い鱗へと吸い込まれていった。

「うぉ!!」危険を察知して慌てた様に炎を止めるヴレイズ。「っとぉ! 効かないとは思っていたが、危うく魔力を一気に吸い尽くされるトコロだった……厄介だな」

「そう、あいつは魔力をも吸う……我々の知っているゴゴンギャではない」

「進化するならドラゴンみたいになって欲しかったな。ドラゴンを狩るのがあたしの夢なのに」膨れ面を作りながらゴレズの傷の手当てを始める。



 ザ・ヒートと戦い始めて数分、ヴレイズは楽しそうな表情を浮かべながら相手の爪を受け流し、懐に入り込んで拳を振るった。それを防がれ、また受け流し……を繰り返えす。

「あの若者、やるな……」治療が終わり、離れた場所で見守るゴレズ。彼は仲間を2人殺されたので仇を討ちたいとさっきまで息巻いていた。

 そんな彼をアリシアは目を光らせて「怒りと憎しみで乱れた者は邪魔にしかならない」と一喝し、遠くで傍観するように言ったのだった。

「楽しそうだなぁ~ヴレイズ」

 ヒートは炎牙龍拳を頭の先から足先まで使いこなし、ヴレイズの攻撃を涼しそうな顔で受け、鋭い爪で彼の末端を打った。これによりヴレイズの防御は甘くなり、不意に襲いきた尻尾の薙ぎ払いを喰らい地面に倒れ伏した。

「ぐあぁ!!」体勢を崩し、起き上るのに手間取る。

 すると、ヒートは右手の爪先に紅色の水晶の様な光を灯し、ヴレイズへ向けた。

「何をする気だ?!」悪寒が走り、転がりながらヒートから離れる。

 すると、爪先から槍の様に細く鋭い熱線が放たれ、地面を軽々と貫いた。

「うっそだろぉ?」初めて『熱線』を目の当たりにし、驚愕するヴレイズ。

「火炎を貫通力の高い熱線へと昇華させるとは……下手なクラス4より高度な真似を……くそっ」ゴレズは悔しそうに顔を歪め、拳を地面に叩き付けた。

 ヒートは熱線の出た爪先を不思議そうに眺め、またヴレイズへ目掛けて熱線を放った。

「あっぶ、」

「あぶない!!」アリシアが割って入り、ヴレイズを突き飛ばしながら矢を放った。

 アリシアの放つ矢は海戦の時に見せた様に、攻城兵器並の威力があった。

 そのはずだったが、矢が火口とヒートから放たれる熱に耐えきれず、届く前に燃えカスになった。

「アリシアは離れていろ! こいつぁ君の装備じゃ狩るどころか近づくことすら……」

「でも、じっとしてられない! ヴレイズが殺されちゃう!」

「俺はそんなに脆くないぜ!!」久々に頼もしい声を出すヴレイズ。

 ヒートは彼らのやり取りを眺めながら、アリシアの周りに漂う炎を感じ取った。腕を彼女目掛けて掲げ、『炎の波動』を放つ。すると、彼女の『炎のケープ』が消し飛ぶ。

「がっ! あ゛あ゛っ!」生身では火口最深部の熱に耐えきれず、皮膚が赤く焼けていき、髪がパチパチと音を立て、服に着火する。

「くそ!」灼熱に苦しむ彼女を抱きかかえたヴレイズは急いで退き、再び『炎のケープ』で包み込み、炎を鎮火させる。

「げっげはっ! ぐはっ! ごほっ!」器官が焼け、急いでヒールウォーターを飲み下す。

「大丈夫か?」

「だ、だいじょうぶじゃない……」地面に倒れ伏し、参ったような顔を向けるアリシア。ハンティングウェアーは一部分が黒く焼け、全身痛々しい火傷を負っていた。

「……町で貰った火傷なおしを塗って、ここで見ていてくれ。俺はあいつを、1人で倒す……」

「ご、ごめん。役立たずだね、あたし……」

「なぁに。今度また助けてくれ。うっし! いくぞぉ!!」優しく笑いかけた後、ヴレイズはヒートの方へ向き直り、炎を纏って飛んでいった。

「……がんばれ、ヴレイズ」



 戦闘再開から数分……ヴレイズは徐々に押されていた。

 彼はヒートの炎の使い方を学び、それを自分の中で応用しながら自分の戦い方を少しずつ昇華させていた。現在の彼の実力は、昨日までの彼とは全く違っていた。

 だがその分、ヒートも彼の『熱』を読み取り、戦い方を学習し、爪に炎を纏って破壊力を増しながら炎牙龍拳を振るっていた。

 ヴレイズの胸、背中を皮一枚で切り裂き、少しずつ彼を追い詰めていく。

「ぐっ、なんて化け物だ!」苦し紛れの赤熱回し蹴りを放つと、それを尻尾で絡め取られて振り回される。「な!」

 ヒートは空中で前転し、マグマ溜まりへ向けて叩き付けた。

「ぐぁあぁぁぁぁぁ!!!」ジュワァっという音と共にヴレイズは溶岩へ浸かり、やがて奥底へと沈んでいった。


「ヴレェェェェイズゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!」


 その光景を見て膝を折り、アリシアは喉の奥から彼の名を絶叫した。涙がポタリと落ち、地面を濡らす前に蒸発する。

 歯を剥きだし、殺気の籠った瞳をヒートへ向けた。

「っっっうあぁぁぁぁ!!」取り乱して弓とナイフ、クローを構えて矢を向けた。たとえ焼き殺されても道連れにする覚悟を決め、足に力を込める。


「うっとぉしいなぁ! こんチキショーーーーー!!!!」


 拳を天へと掲げ、辺りにマグマの雨を降らせながら上空へ跳ぶヴレイズ。

 そのままヒートの頭上を蹴りで奇襲し、頬を蹴り砕く。

「見事だな……」ゴレズは感心した様に顎を摩り、ヴレイズの戦いぶりを静観した。

「よ、よかったぁ……生きてた……」涙を拭い、笑顔を取り戻すアリシア。「心配させないでよ!」

 だが、戦況は好転してはいなかった。

 右頬を蹴られ、やっとダメージを喰らったヒートだったが、怒ったのか鋭い黄眼を赤々と染め、爪を紫色に変色させていた。

「キングが怒った時に見せる邪爪だ。勝負を一気に決める気か?!」知っているようにゴレズが唸る。

「なんだ?!」変わりゆくヒートの様子に狼狽するヴレイズ。

 ヒートは炎の障壁を展開し、ヴレイズを弾き飛ばした。また溶岩に突っ込む彼だったが、熱がりもせず腰まで浸かり、相手の様子を窺った。

 ヒートは邪爪をカチカチと鳴らし、両腕を振るって『熱線の斬撃』を放った。

「やべぇ!!」跳躍し、必死になって熱線を避ける。ヒートの放った斬撃は十字にマグマを切り裂き、灼熱の波が彼を襲った。

「もう見てられんな!」ゴレズは腰を上げ、ヴレイズを後ろから支えながら岩陰に隠れた。

「ありがとよ!」

「強いな……流石はサンサ族の生き残りだ」

「傷は大丈夫なのか?」

「君らのヒールウォーターと炎の回復魔法で傷はだいぶ塞がったよ。俺は仲間を2人殺され、仇を討ちたい! 今の俺は冷静だ。手伝わせてくれ!」

 彼らの会話を大人しく聞いている筈もなく、ヒートはまた熱線の斬撃放ち、大岩を切り裂いた。

「くっ! おちおちと作戦会議もできないな!」

 すると、陰に隠れていたアリシアが煙玉をヒートの足元に3つ投げ、視界を塞ぐ。

「サンキュー! で、どうする? 正直、このままずっと戦い続けて炎の戦い方を学んでいたいが……経験を抱いたまま死にたくはないな」

「俺にはヤツの息の根を止める決め手の技が無い……お前はどうだ?」ゴレズが口にするとアリシアがそばに駆け寄る。

「弓にナイフとクローがあるけど、貸そうか?」

「奴に触れてわかったが、それらは通じないな……刃が届く前に熱でダメになる」

「じゃあ、必殺技が必要だね……」アリシアが唸ると、ゴレズが指を鳴らした。

「よし! 俺が時を稼ぐ。その間に必殺技をこしらえてくれ! いくぞぉぉぉ!!」ヴレイズが返事をするのを待たず、ゴレズはヒートに向かって拳を振るった。

 ヒートは『炎の波動』で煙幕を払い、熱線で迎撃した。

「ぐぁ!」横っ腹を貫かれ顔を歪ませる。

「くそ! あの様子じゃ1分も持たないな……」ヴレイズは頭を掻き、必死になって必殺技を考える。

「必殺技ひっさつわざ……うぅん、ラスティーならなんてアドバイスするかな?」

「ラスティー……」彼の過去の言動を振り返るヴレイズ。

『お前は本当に炎だけだな…』『工夫しろ工夫!』『俺は野蛮な事はしないんでね』

「だめだこりゃ……」顔色を青くし、ゴレズの戦いを見る。

 彼は首を尻尾で締め上げられ、背中を爪で滅多刺しにされていた。

「ぐぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!」背から血と火が噴き出し、黒煙がプスプスと音を立てる。

「殺されちゃう! 助けてくる!!」堪らずアリシアは武器を構えて飛び出した。

「お前が行ってどうするんだよ!!」


「40秒! 40秒で考えて!! いい?!」


「無茶ぶりすんなってぇぇぇぇぇ!!」


 ナイフを投げ、ヒートの注意を引くアリシア。

ヤツは彼女目掛けて『炎の波動』を飛ばしたが、彼女はギリギリで避け、ヒートの周りをグルグルと回りながらありったけの投げナイフを飛ばした。刃は溶けて鈍り、どれひとつ刺さらずにコツコツと当たるだけだったが、ヒートの注意を引くことに成功し、ゴレズは拘束を解かれ地面に転がった。

「くっ! はやく早くぅ!!」ヒートの放つ熱波に怯えながら後ずさり、クロガネのナイフを構える。

 ヒートは笑うように肩を揺らし、炎の残像を作りながら高速移動し、あっという間にアリシアの間合いに入り込んだ。

「しまっ」ヒートの全身から波動が放たれ、彼女の『炎のケープ』が消し飛ぶ。さらに尻尾が彼女の胴に絡みつき、万力の様な力で締め付けた。

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 再び全身を灼熱で焼かれ、更に肋骨を枝の様に折られていく。

 ヒートは彼女の苦しみ具合を楽しむ様に爪先で胸を突き、少しずつ切り裂いていく。

「が、ぐげ、が、ぎぃあ゛……」目玉がでんぐり返り、血生臭い煙を吐き出すアリシア。


「いい加減にしろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


 ヴレイズは赤熱拳で殴りかかった。ヒートは彼女を投げ捨て、背後へ飛び退く。

 彼は急いで『炎のケープ』で彼女を包み、抱きかかえた。

「あ゛……う゛……に゛びょう゛お゛ーばー……」半死半生のアリシアは引き攣った笑顔を覗かせた。

「待たせた……決めるぜ」優しく彼女を地面に寝かせ、赤熱拳を両腕に纏わせ、構える。

「魔力を練るんだろラスティー? どうやってやるんだかわからねぇが、もうなる様に成りやがれ!!」

 ヒートはヴレイズの全身に集まる魔力と熱を感知した。大好物の熱を目の前にして期待に目を輝かせ、彼から放たれる炎を今か今かと待ち構える。

「悪いが、お前の好きな熱じゃないぜ! いくぞ!」

 両赤熱拳を突き出し、腕の周りを奔る炎を高速で回転させる。激しい炎はやがて蛇の様にのたうち、まるで赤く輝くロープが腕に絡みついているような形となった。

 その回転する両赤熱拳を交わらせる。すると、激しい火花を放ち、2つの炎が1つの塊となった。それが更に高速回転し、ついには辺りに灼熱の衝撃波を放ち始める。


「コントロールが難しいな! くそ、抑え込み、されど激しく! もっとだ!!」


 まるで嵐の様に激しくなった灼熱の塊が、目が眩むほどの光りを放った。


「今だ!!」


 ヴレイズが咆哮すると、両腕から極太の熱線が轟音と共に放射された。

 ヒートはご馳走を目の前に喰らおうと構えたが、その炎は自分の好物とは全く違う代物であると気づき、初めて目を剥いた。

 熱線はヒートの胸に直撃し、鱗と頑強な胸板をいとも簡単に貫通し、火口の壁にぶつかった。岩壁をも突き破り、バースマウンテンから熱線が飛び出て遥か西の方角へ伸びていった。

「くっくぉぉ! と、と、まれぇ!!!」暴走気味の熱線を少しずつ弱め、細く引き絞る。

 ヒートの胸に大穴が空き、赤々とした皮膚は力なく黒ずんでいく。鋭い瞳の光は淀んだ黄色を映し、ばたりと倒れ伏す。


「っしゃあぁぁぁぁぁぁ!!! 狩ったぞぉぉぉぉぉぉ!!!」


 ヴレイズの勝ち名乗りは火口から空へと立ち上り、延々と山を木霊した。



 その日の夜、ヴレイズは疲れ果てた身体を無理やり動かし、瀕死のアリシアとゴレズ、そしてヒートの骸を町へ運んだ。優秀な魔法医がスタンバイしており、彼女らの手術を始める。

「大丈夫、だよな?」ヴレイズも簡単な手当てを受けていた。

「我が町の魔法医は優秀だ。それにしてもよく狩ってくれたな! 2人は残念だったが、死ぬ覚悟はいつでもできている立派な戦士だった。助けられずとも、気を落とさないでください……それにしても、ガイゼル殿でも倒しきれなかった厄災を倒すとは、あなた達は一体?」ヒートの死骸を注意深く観察しながら町長が問う。

「ただの魔王討伐を目指す、旅人さ」ヴレイズは自慢げに答え、鼻の下を擦った。

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