想い

想い


 翌日正式にジムの会長から連絡が入った。結果は見事合格。直ぐに父さんに知らせた。「父さん。受かったよ」「よっしゃー。良くやった。ママ。リョウ正式に受かったぞ」「本当に凄いじゃん。あのリョウがプロボクサーねっ。何か信じらんない。一番小さくていつもいじめられてたのにね。びっくりだわ」「俺のおかげだな」「何言ってんのよ。リョウの頑張りよ」「そりゃそうだ」

 これで一つ目標達成だ。自分でもこんなに強くなるなんて小さい時には思ってもいなかった。考えて見れば僕にはいい「居場所」があった。持田先生のところ。うちの前の塾。そしてボクシングジムだ。特に僕みたいな発達障害の子どもには「居場所」は大切だと思う。持田先生が父さんに「兎に角父親と一緒にいる時間を増やしなさい」とアドバイスしてくれなかったら今の僕はいない。持田先生ありがとうございます。又、それをきちんと実行してくれた父さんに感謝だ。ありがとうございます。そしていつも親身に相談にのってくれた塾の先生にも感謝だ。ありがとうございます。会長。成川さん。高木さん。木滝さん。ジムのみんな。母さん。ジュン。そして僕を見守ってくれたみんなに感謝だ。ありがとうございます。

 父さんがある時こんな事を講演で言っていた。「子どもは徹底的に愛してやらなくちゃダメです。自分は本当に愛されているんだと子どもが実感すれば決して誰かをいじめたりはしなくなると思います。いじめを無くす第一歩が子どもを徹底的に愛してやる事です。それと「居場所」を作ってやる事も大切だと思います。「居場所」を自分で見つける子もいます。それができない子もいると思います。ですからそれを見つけるチャンスを与えてやるのは大人ができる事の一つだと思います。私の息子は言語の発達障害で自分の意思を伝えるのが苦手です。今だに会話はダメです。当然子どもの頃はいじめられました。でも彼は自分の「居場所」を見つけた。私にできる事はその機会。チャンスを作る事だけでした。結果彼はいじめを克服し楽しい学校生活を送りました。いじめは結局自分で克服するしかありません。ですがそのチャンスは我々大人が与えてあげられると思います。子どもを徹底的に愛してやる事。「居場所」を見つけるチャンスを作ってやる事。この2点がいじめを無くす大きな要素だと思います。そして最後に私は息子に常々言っていた事があります。それは努力は必ず報われる。努力は嘘つかないと言う事です。彼はボクシングのプロテストを6回失敗しました。普通は挫折します。でも彼は頑張りました。私の言葉を信じて。結果7回目で見事合格しました。いじめを克服するには最終的には本人の意思しかありません。それをくじけずにやり通す言葉をかけ続けてやるのも大切です。それも親の役目だと思います」

 正にその通りだと思う。会話は相変わらず苦手だけどとりあえずここまで来た。父さんもいつ再発するかわからない。母さんと妹もいる。障害何かに負けちゃいられない。



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僕は発達障害「親父と息子」 @0906

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