濃密な世界観とキャラクターたち

企業国家、謎に包まれた旧世界の科学技術が詰まった遺跡、多種多様な生物兵器や機械。そんな世界に一癖も二癖もある人間たちと旧世界のAIたちが加われば面白くないわけがない。
主人公アキラと周囲の人々が熟考し、戦い、生きようとする様は激しい躍動感と魅力に満ちている。しかも主人公の住む東部と別の地方には魔法やエルフという気になる存在が匂わされているのでアキラの冒険は今後も拡大し続けることは確実。今後の展開が待ちきれない。

無理やり欠点をあげるとすれば時に過剰なほど濃密な戦闘描写に対して日常生活の描写がやや浅いこと。スラムや都市や荒野にはどんな音や匂いがあり、どんな風が吹くのか。主人公がそれをどう感じるかわかればリアリティはさらに増すのでは。
ついでに言えば多くのキャラについて生い立ちが全く語られないのも個人的には残念。どんな家庭や人生の中を生きてきたか断片でも見えればキャラの存在感が増すと思う。

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