◆ 乳房 ◆
WD-16(女)は、繁殖行為が大嫌いだった。
コンピューターの選んだ相手は毎回替わり、身体を重ねても心が重なることはない。
子どもを作るための“ 群れ ”の大事な義務だと考えていたが……自分が産んだ赤ちゃんを取り上げられてからは、嫌悪感がつのり……。
「どうして、女になんか生まれたんだろう?」
そんな疑問が、WD-16(女)の胸の中で
あんまり早くハウスに帰ると、コミュニティ・プラン管理者に怪しまれるので、わざと男を焦らして時間稼ぎをしていたのだ。
嫌なことは、さっさっと終わらせたい!
彼女は“ 群れ ”に対して反抗的な気分だった。
「私、ハウスに帰りたいの!」
怒ったように、彼女は勢いよく服を脱いだ。
いきなり、むき出しの乳房にMO-14(男)は目が眩んだ。
「早く終わらせて……」
そう呟いて、彼女はベッドに潜り込んで目をつぶった。
なぜか? 理由は分からないが、彼女はひどく不機嫌で怒っている。
初めてのコミュニティ・プランで、嫌がっている女性と交わるのはやるせなくて……。
MO-14(男)はとても悲しくなった。
彼女の方に目をやると、むき出しの乳房が青白いライトのせいで、蛍光しているように白く光って見える。
それは水銀灯のように
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます