日常~甘エビ編~

猫にゃんにゃん

第1話 日常~甘エビ編~

あ、あのオヤジまた来てる。最近毎日だよな――。

まあでも今日は部下っぽい奴と一緒か。

って、あんなヒョロヒョロで大丈夫か?ちゃんと飯食ってんのかなあ。

……あー、そりゃ駄目だわ。そんなことしたら奥さん確実に怒るだろ。

それで今週一週間晩飯抜きで、小遣いきってこんなとこ来てると。

いやー、どおりで毎日ビールとタマゴ三皿しか頼まねえわけだな。可哀そうに。

お、今日はそいつが奢ってくれるってよ。何でもいい、ってお前太っ腹だな。

何だかんだでいい部下持ったなお前さん。良かったじゃねえか。

奥さんとは早く仲直りしろよ。


こっちは子供連れか?家族仲良く羨ましいこって。

おい、嬢ちゃんあぶねえぞ。下手したらその指切っちゃうかもしれんし、周りのお客さんもびっくりするだろ。

そうそう。はしゃぎたくなるのはわかるが、行儀よくな。

こういった事は小せえうちから躾けてねえと碌な大人にならんからなあ。

……へえ、10歳の誕生日。そいつは目出度いな。

これからしっかり飯食って成長して、立派なレディになるんだぞ。



ヴ――――――――――ン   ピン!!


おお。もうここまでご到着か。相変わらず早ーなー。


「甘エビ先輩。お疲れ様です」

「おう。マグロか。お前はいつも忙しそうだな」

「そちらはいつも暇そうですね」

「まあな。…で?今日の稼ぎは幾らくらいよ?」

「ん――…今日は若干客の入りが少ないので、50皿くらいかと」

「ひえー。俺の倍以上じゃね?休む暇殆どねえな。いやー、もてる男はつらいねえ」

「五月蠅いです。…それじゃ、僕はお客さんを待たせてるので」


そう言って奴は目の前の客の許へと向かう。

流石にうちの人気を二分するだけあって接客態度もピカイチだ。サーモンさんっていう美人の彼女を持っているにも拘らずあの勤勉さ。ホントに頭が下がるよ。俺とは違って。



あー、でもいい加減早く誰か呼んでくれんかな。せめてリストラだけはされたくないんだが。

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