第3話
その光はカメだった。カメは6人を虐殺し、人間とは思えない肉塊と多数の液体が広がる。
「太郎さん、大丈夫ですか?」
大丈夫なわけはない。
「飛べたとしても、危ないよ。これどうするの?」
しかし、どうやってこの残骸を処理するのか。
そこにタコが立っていた。良く見ればタコではない。手が多い。手の先も沢山に分かれている。
「担当を連れてきてますので」
そのタコらしきものは頭の後ろに肉を投げ込む。
どんどん、どんどん。
「太郎さん、血が足りないでしょう。随分出血しましたから。」
肉など得ずして長い。しかし太郎には抵抗もある。
答えない太郎に、カメが目配せをするとタコらしきもから触手が太郎の口に差し込まれた。
あぁ。回復する。太郎の姿が変わっていった。良い方に。
「太郎さん、もうお礼を超えてあなたをお連れせねばなりません。」
まずい事態だ。
タコ、あ、タコらしきものが少し微笑んで見えた。
「あなたを竜宮というところにお連れします」
竜伝説。ある種の懐かしささえ覚えるが、まあこの喋る生き物相手にいちいち説教するのも面倒である。
「断れないんだろうね、だけど家に帰って準備していいかな」
太郎の戸惑いはカメにも伝わったらしい。
「いや、今すぐにです。喜んで行く場所ですよ。ある意味奇跡の場所です。ただし海の中ですが」
「海ね。海はいいとして、私は息ができないが、エラもなければボンベもない」
カメがうんざりした感じで言う。
「もちろん。それは慣れてるますので。」
つまるところ、自分は何人めかの連れ去られるもので、考えだけで頭が痛いが。このカメとタコがプロなのは分かる。こういうことだけでは。他のことは太郎が強いとしても。
太郎は手持ちの装備を確認した。釣竿としてのの特殊素材の伸縮棒。テグスにとしてだが対荷重が異常なワイヤー。自律型の魚類選好針。
手持ちの対抗できるものは少ない。
しかし、また太郎の好奇心が邪魔をした。
「カメさん、なら行くよ。どうせ長いこと。いや、ズット余生だからね」
カメがいう。
早い判断助かります、上のものに叱られますのでね。すでに伝えてはおりますので。
汗などないが、人間だったらそういう状況だ。
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