35話 演説
「最後に、安倍真理さん」
はい、と返事をして私は震える手を支えながら立った。壇上から見る世界に圧倒されて声が震えそうになる。
「ーー。はじめまして安倍真理です。」
笑顔を作る。きっとみんな私には興味が無いから印象だけでもよくしないと。
「私は裏派閥を取り壊し代わりに自室では皆さんの自由を尊重します。そして、活躍した部活動にボーナスを設けたいと考えています。以上です、ご清聴ありがとうございました」
拍手が聞こえる。ちゃんといえた。よかった。ドクドクとうるさい胸に手を当てながら階段をおり、深呼吸する。
「立派なスピーチだねえ、がんばった」
千春さんが笑いながら頭を撫でてくる。綺麗なその顔に見とれてしまう。
「……先輩、ありがとうございました」
「なあに今更。アンタは私以上の悪役の癖に」
悪役なんて立派な役は違う。私はきっとーー。
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