33話 化かし合い選挙
照り返す日差しに茹だる、夏休み最終日の8月31日。倦怠感に苛まれる身体を動かして生徒は登校する。
今日は第100回生徒会長選挙最終日投票日。そして、立候補者の演説が行われる。
「立候補者は3名。今年も少ない人数ですので来年こそは奮って応募ください。」と、司会を頼まれた御石さんがマイクで話している。
「それでは1番。元会長の渡利千春さんお願いします。」
凛として表情を崩さない千春さんはさすがだと思った。スタスタと軽快にステージ上にあがっていく後ろ姿に憧れすら抱く。
「はじめまして、の人が多いので自己紹介をさせていただきます。渡利千春です。このスピーチに意味があるとは思えないので、手短に終わらせます。私は変わらないこの学園を保ちたい。以上です。」
拍手がおきると共に優雅に席に戻る千春さん。この人も敵だ。私の方を見る目はひどく冷酷で背筋がゾッとする。美人に睨まれるのはここまでつらいことだったろうか、額から汗が流れ落ちる。まるで蛇に睨まれた蛙のようだ。
汗ばんだ手を強く握る。選挙はここからだ。
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