29話 あたり棒はソーダ味


選挙まであと5日。

裏派閥が風紀委員会によって検挙された。

舵を取ったのは風紀委員会。ただし吹坂双子ではなく武闘派の杜若であった。杜若に同行していたのは陸上部部長の湘南、柔道部部長のはやしであり、このような結果になったのは意外だ。

なぜなら、湘南や林は裏派閥の会員であったし、なにせ検挙されたのは生徒会長の安倍晴香と、裏派閥の副管理人のリン辰巳たつみだけだからだ。

確実に会長が決まるまでの数日間は機能が麻痺するだろう。これが誰かの戦略ならば、恐ろしく残酷だ。いいや、誰かなんて誤魔化す意味はないのかもしれない。


「タマ、辰巳がいないと寂しいんじゃないの」

背中にすがってアイスを食べる千春さんは呑気だ。

「わかってるんですか。まだあなたは多数の票を獲得できてない」

「わかってるよ、このままじゃ勝てない」

立ち上がった千春さんは笑顔でいった

「あたりを引き換えるついでに票集めにいきますかね。」

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