28話 友達

「安倍真理はいいけどそっちの2人もついてくるの?」

美東さんはいろいろとご立腹だ。割れなかったスマホを片手に部屋で寛いでいる。

「蜂谷さんのこともよく知らないし、もう1人はもっと知らないわよ!」

普段の猫かぶりをやめた美東さんはなかなかに強烈だ。

「2面性がありすぎだろ、そこのお嬢様。僕は2-3、蜂谷はちや未佳みか不良連合総頭ふりょうれんごうそうがしらだけど、別にそこまで不良じゃないしなあ。」

ショートカットの朗らかな蜂谷はそう言うが、確かここ周辺で彼女は無敗だ。

「失礼しました、私は鞘橋さやはし愛衣あい。1-1で剣道部所属です。よろしくお願いします。」

ポニーテールの似合う彼女は高校の全日本選手権で優勝を果たすなど、名の知れた剣士である。


「選挙に立候補してない人は安全が守れないから、交渉して仲良くなったし護衛を依頼してたの」

「ひとことくらい、いいなさいよね!友達でしょ!」

……友達。まさかそんな言葉が聞けると思っておらず、目を丸くしてう、うん。と相槌を打つのが精一杯だった。


「え、ずるいよあみちー。僕も友達だよねえ、マリー。」

「この暴力馬鹿はどうでもよいですが……先輩!私も友達だと思っております!」

「モテモテだねえ、真理」

普段行列を作っている美東さ……愛美には言われたくなかった。

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