26話 追跡


波乱の選挙も終わりが近づいている。あと一週間で第99代生徒会は解散となる。そして次は誰が会長になるのやら。

「安倍会長。お疲れ様でした、校内の巡回ですか」

鍵を手に会長様はどこかに行こうとしている。

「ああ、美東。皆、今日も書類を終わらせたらはやく帰りなさい。近頃は危ないみたいだから。」

は何かを隠している。

わたくしの頭を撫でた後、見覚えのない鍵を片手に真剣な顔で生徒会室から会長は出ていった。幸い今日は厄介な喜多副会長がいない。私は終わっていた書類を纏め、そっと後ろをつけた。


一階に降りてから三階にあがり、その後渡り廊下を渡り二校舎の四階。その端の部屋に会長は入っていった。扉が閉まると共に近づき、確認しようとした時だった。後ろから何者かに口を塞がれ、近くの教室に引きずり込まれた。

カタンとスマホがポケットから落ちた音が廊下に響いた。

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