22話 蜂谷
拳が握られ殴られると思い、咄嗟に櫻を庇った。かわいい顔に傷がつかないよう祈った。こんな
すごい音がした。ピストルの音かと思うくらいには大きく衝撃的だった。
衝撃はなにも体には伝わらないまま、目を開けると誰かが立っていた。ショートカットのボサボサな頭の、見たこともない奴だった。
「大丈夫か、かわいいお嬢様方」
慌てて腕の中の櫻を見ると無傷のままぽかんと口を開けていた。
「
途切れ途切れに喜多副会長が言う。蜂谷さん、なんて聞いたことのない名前だ
「やあ久しぶりだね、喜多さん。」
喜多副会長の顔は焦りに変わっていく。かなり腕っぷしの強い喜多副会長が焦るほど強そうには思えないその蜂谷さんはヘラヘラと笑っていた。
「マリーがいってたけどさ、キミといると強いひとと戦えるって喜多さんだったんだね!これなら刀バカと変わればよかったかもなあ。」
マリー、安倍真理は部活連合と不良達に話をつけて裏財閥を解体すると言っていた。しかし、この蜂谷さんという人物は不思議だ。
「愛美お姉様、早く逃げましょう」
私の腕を引っ張る櫻の手は震えていた。
「またね、お嬢様達。マリーによろしく」
逃げる私たちにその人はウインクをしてみせた
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