20話 書記の憂鬱

「ーーそれで、会長は出馬を取り下げましたわ。ええ、上手くやりなさいよ。それこそ死なないように。」

電話がきれる。まだ胸のざわめきは収まらない。わたくし達は危険な橋を渡っている。だから、きっとこの選挙が終わるまでは胸を撫で下ろす訳にはいかない。


「お姉様、聞きましたわ!会長様が出馬取りやめなんて……」

取り巻きの1人は慌てている。潮田櫻。この子もキーパーソンだ。

「櫻、私、困ってしまいましたわ」

ちょっと困った顔をして、そうしたら誰でも私の言うことを聞いてくれる。

「お姉様?どうなさったの?」

私の役割を果たす。そして私は、千冬を生徒会役員にしてみせるー。



「なにしてんだ。美東。」

低い声に振り返るとひどい顔をした喜多副会長がそこには立っていた。しまった。今1番大変なのは私だ。

「あら、副会長なにか御用でして」

笑え。これは友情のための戦争だ。

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