16話 因縁
インターフォンの音が鳴り響く。そろそろ真理ちゃんが帰って来るかもしれなんて、浮かれながら玄関に向かう。
が、そこに立っていたのは……会長。
元会長、渡利千春。
「あなたが私に会いに来るなんて思っていなかったんですが。なにか用ですか」
「まあ、元気にしていてよかったよ。別にどこに情報を流したっていいから、また働いてくれないかな。」
この人は懲りてないのか。死ぬような思いをして、2年間も床に伏していたのに。
「妹を会長にしてはいけない。だから、ついてきて欲しい珠美。」
また、そんな輝かしい瞳で私を見るのだから断れない。私はどうやら未だに渡利千春に掴まったままらしい。
憧れの、渡利生徒会長に。
「かいちょー。今回は何をするノ?七節は危険な目に合わないヨネ?」
そっと辰巳が後ろから話す。
「さあね。千冬はやばいから辰巳ちゃんにも協力して欲しいな。裏の力が場合によっては必要かもしれないの」
「…私は七節に従うかラ、七節を説き伏せてみてヨ。」
辰巳に丸投げされた。静かな空間を切って千春さんが話し始める。
「もう一度、協力して欲しい。七節、林、よろしく頼む」
「……もちろんですよ千春さん」
涙が溢れ、頬を伝って流れた。またあの時の庶務に戻れたら、などと願うのは浅ましいのだろうか。
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