15話 静寂


風紀委員室は恐ろしい程に閑散としていて、そこに連行された渡利千春(とおもわしき人物と、姉と喜多副会長、それに吹坂双子と私という珍しいメンバーが揃っていた。

そこに見覚えのない人物が2人入ってくる。一方は、身長の低いまるで人形のような整った顔をしている人物。一方は170cmもあろうかという身長にポニーテールをくくった元気そうな人物。2人は椅子に腰掛けると、ポニーテールが人形のような人物に小突かれながら話し始めた。

「ええと、わたし、なにも知らないんだけど……痛い!蓮花れんげさんごめんなさい!話します!

『御機嫌よう、渡利前生徒会長。現在は生徒会選挙の真っ最中で、あなたが戻ってきたことにより再選挙という形を取らせていただきます。

詳細につきましては明日掲示するのだけれど、立候補は五月中旬までに延期。投票日は夏休みの最終日ということでよろしくお願いします』だって。」

「ありがとう。選挙管理委員会の蓬莱ほうらい会長、それと御石みいしさん。この時間は公欠扱いにして貰うからもう帰っていいよ」

頭をさげてポニーテールの1年とお人形さんみたいな選挙管理委員長は風紀委員室から退出した。


「そう、またやり直し。ってことで渡利千冬、安倍晴香の立候補も一旦取り下げているらしいからよろしく」

けど、と椿さんが紅茶を飲む。と、突然渡利千春がソファーから立ち上がり、

「千冬が……?」

とだけ呟き部屋を飛び出した。

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