14話 動乱の種
教室棟に入るとそこは混沌としていた。
中心にいるのは私の姉安倍晴香と、綺麗なハニーブラウンの髪色をした緩いウェーブのかかった腰までの長髪の女性だった。遠巻きに見ていると声が聞こえる。
「相変わらずつまんない顔をしてるなあ、晴香。邪魔だからどいてくれない?探し物があるんだよ」
「そんな、千春さん。私が協力しますから、邪険にしないでください」
「そうそう、そういう犬みたいな媚びた態度がいらないのよ。はやく消えて。邪魔邪魔」
喧嘩のような口論に辺りはざわついている。
「喜多。あんたさ、こいつどけてくれない?探し物ぐらい1人で出来るっつーの」
ハニーブラウンの美人は外見に似合わない言葉を使って喜多副会長に話しかける。喜多副会長はその端正な顔を恨めしそうにしかめ、姉に教室に帰りましょ、と話している。
騒がしさに風紀委員が数人現れ場を整理している。
「ああ双子が跡を継いだのね。あの堅物も卒業したからね。じゃあアタシ、探し物してきていーい?」
「ダメです。短時間ですが風紀委員室に拘束させていただきます、渡利千春さん。みなさん、お騒がせしました。授業にお戻りください。」
吹坂風紀委員長の声と共に観客たちは散り散りに教室に戻っていった。
一方で、わたしは椿さん!と声を張りその集団に向かっていった。
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