13話 過去と今


「サボるなんて珍しいね」

七節先輩といると落ち着く。きっと辰巳さんもそれを求めて傍にいるんであろう。

「七節先輩、私渡利さんに絶交されたのでもう関わりません」

唖然とした七節先輩は私の頭をなでる。すると自然と涙が零れた


「そうだ。昔話をしてあげよう」

と、唐突に七節先輩は語り出した

「みんなから嫌われながらも圧倒的な支持を得た会長がいたんだ。自分が中心だと思いながらも、生徒のことを考えていた。

しかしある日その会長は1人の告げ口から呆気なく死にかけてしまった。その裏切り者は私だ。今でも夢に見る、あの一言があの人を病院に縛り付けてしまったのだから、ずっと後悔している」

七節先輩は辛そうな顔をして私に笑う。

「みんな理由があるんだから、受け入れてあげないとね」

もしかしてその会長は、と脳裏に過ぎった人がいた。噂の姉の前の会長。姉が異常なまでに慕っていた前生徒会会長。


「七節!渡利が帰ってきタ!」

突然勢いよく開く扉と共に辰巳さんが現れた

渡利?千冬のことではないのか、と横を見ると真っ青な顔をした七節先輩がいた。

「千春さんが帰ってくる?そんなはずはないんじゃなかったの?辰巳私にー?」

「違う!嘘ついてなイ!」

「とにかく、だ。真理ちゃん例の会長が帰ってきたよ。第97・98代生徒会会長、渡利千春がね。ああならない為にも見てきた方がいい」

七節先輩は依然と体調が悪そうな顔のまま私に扉の外を指差した

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