9話 逸材


愛美あみ、あなたはなんて存在ものを渡してきたの。血筋というのは本当に怖いものだ。目の前には目覚めた獅子がいる。私はその迫力に喰われそうになる。

「姉を失墜させます。姉を人間に戻さなきゃいけない」

まるで大政奉還だ。あと投票日までは3ヶ月。現会長職の在席期間は一学期が終わる七月末まで。

「いいよ、君の覚悟は相当なものだから教えよう。情報屋の持つ情報全てを。」

寝室の扉を開く。そこはデータの倉庫だ。


「すごい量……」

日々更新されるめくるめく量を5つのディスプレイで見渡すが、中には紙媒体で管理している物もあり、床一面に散乱している。もっともそのデータの入手方法は秘密だが。

といったからには、ちゃんと選挙システムを一から理解し利用しなきゃならないよ。さあ、候補者の情報を整理しよっか、真理ちゃん」

安倍真理は自分から支配しようとはしない。ただ、姉を失墜させたいという純粋な殺意がその目には宿っていた。


また悲劇を起こさない為にもわたしはこの子を育てあげる。いつかその殺意がに変わるまで、あの人に似たこの子は私が絶対守り抜いてみせる。

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