8話 先輩


七節先輩の部屋は、思っていたより綺麗でシンプルな部屋だった

「自己紹介をしていなかったね、私は七節ななふし 珠海たまみ。クラスは3-1。情報屋として活動しているよ」

「はーイ、アタシはねえ、リン 辰巳たつみ。七節と同じ3ー1だヨ。」

林先輩は中国人の父がいるらしくハーフらしい。頭上のふたつのお団子に、特徴的な糸目が顔立ちのよさを表現している。そして、目を引く胸の大きさだ。

安倍真理です、と挨拶をして座る。


「それじゃあ、うらって呼ばれているものの説明をするね」

七節さんは、ホワイトボードを持ってきて、書き始めた。

「裏はある部屋のことをさしていて、そこでは学園のルールに関係せず、禁止物を持ち込んだり禁止行為を行ったりできる。ある人は″自由区域″なんて読んでたよ。

そこにはマスターと呼ばれる部屋主がいて、現在のマスターは君の姉だよ。安倍真理ちゃん。辰巳は副管理人、だっけ?私は密輸をするだけだから行きたいなら辰巳に言ってね」

はい、と七節先輩は何かを辰巳先輩に渡した。

「それ、くすーー」

しーっと辰巳先輩に唇を指で抑えられる

「ヒミツだヨ、お嬢様。これはまだ軽い方だかラ、検挙する時は知らせてネ♡」

バーイ、と手を振って辰巳先輩は消えていった。

「裏を潰そうとしている有名所は吹坂双子。それと二年の海名うみな。気になるなら行ってみたら。」と七節先輩は業務的に話を終えようとする。

「姉は、裏だけじゃないんでしょう。全部教えてください。そうしたら私姉を潰しますから。」

言い切った私からは迷いがいつの間にか消えていた。


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