4話 生徒会と風紀と

「いやいや、大人しく誘拐されてくれてありがとう」

はたしてこれはなのか、ふかふかのソファーベッドに座らせられ紅茶とシフォンケーキのおもてなしまである。多分この部長の寮の部屋なのだろう。

「申し訳ない、名乗り遅れたね。僕は吹坂ふきさか椿つばき。肩書きでいうと風紀委員長と軽音部の部長をしているよ。そっちの片割れは双子の妹のもみじ、二卵生だから似てないだろう?」

ふふ、と笑って椿さんは紅茶を淹れた。椛さんは、椿さんと対照的で、無口で黒い瞳に黒いベリーショートの髪、まさにクールビューティといった出で立ちだ。

「椿さん、どうして私を?」

「ああ、かいちょーさんが溺愛しているっていうを聞いたから、嫌がらせに誘拐しちゃった〜」へらっと笑う椿さんの目が濁った。

「のが建前で、もうすぐはじまるだろ、次期会長選挙。うちの千冬を勝たせてあげたくてね。かいちょーさんは、1年からやってるし休ませてやろーってね。」ふふんと、椿さんは鼻高々に喋った

「……魅力の話、アレは姉の話ですよ。」

姉は多分今回も負けないだろう。姉を打ち負かす人間なんて今まで1人もいなかった、いや今後も現れないだろう。渡利さんにも惹かれる部分はあれども、身内贔屓をしている訳ではなく単純に姉はーー

「椿、会長が来る」

と、唐突に椛さんが喋った。

「真理ちゃん、その青い顔どうにかして欲しいかなあ。お姉ちゃんが来るよ」


ドアが開きその声は聞こえた

「真理ーー」

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