2話 紅茶は砂糖入りで


渡利わたり千冬ちふゆに連絡がつかなくなった。

渡利千冬はわたくしのお人形はず。美しく反射する薄茶のミルクティーみたいなお目目も、その立ち振る舞いにふさわしくない腰まである黒髪も、似つかわしくない豊満なスタイルも、すべてが私の物なのに、私の物だったのに。矛盾だらけの千冬が私は大好きだったのに。

あの日の乱入者に千冬は夢中になってしまった。


千冬と同じ2-3の委員長、安倍あべ真理まり

ただの芋くさい一般人に。


「ごきげんよう、愛美あみねえさま」

ふと振り向くと同じクラス2-1の妹系な潮田しおたさくらがちょこんとそこに立っていた。

「櫻、今日もかわいいわね。クラスに向かいましょうか」

作り笑いをしながらいつもよりかは重い足取りで教室に向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る