第4話 初期設定って大事だよね?
3台のタブレットPCには僕達の姿が表示されていた。
1人1台ってことかな? それにしても、改めて見ると僕ってデブ……いや、ちょっとレベルの高いぽっちゃり系だよね!!
「さて皆様タブレットにはご自分の姿が表示されているでしょうか」
ナビちゃんの質問に全員で頷いて答える。
「では説明を続けます。こちらは今回の行先であるレビストフでの皆様のステータスになります。と言っても筋力や体力素早さなどが表示されている訳ではありません。
こちらのステータスは主に外見になります。ですので性別、身長、体重など基本的なデータの入力と見た目の変更をお願いします」
要はゲームでのキャラクターを作ればいいってことだね。
僕達はそれぞれのタブレットを手に取りさっそく自身のキャラクターを作り始めた。
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まずは……性別か……。
ふむ、ここはどう行くべきだろうな? あいつらは普通に男を選択してくるだろうし……。
そこでふと、思い出した事がある。
僕が先ほど引き当てた武器は魔砲。正直どの様な武器なのかわからないが、予想が正しければ銃の様な武器だと思う。
ならば、ここは女性しかないだろう。
最近の映画でもトレジャーハンターの主人公や、製薬会社の事故から始まったバイオテロの主人公も女性で拳銃持ってドンパチやる時代なのだ。僕だってやったって何にも問題ないのである。
それに、ゲームなんだ。普段できない事をやるべきだろう。
と、いう事で女性をポチッとな。
・性別は『女性』が選択されました
お次は身長に体重か……。
まずは、身長から決めるか。このまま高身長のモデル体型でもいいのだが……。
小さい女の子が拳銃を持ちモンスターと対峙する……いけね、想像したら鼻血が……。
ふむ! 身長は低めに設定しよう!!
・身長は『140cm』と設定されました
となると体重は軽めの方がいいよな。
・体重は『35kg』と設定されました
その他入力するデータをすべて入力すると僕の姿が映っていた画面が変化した。
なんと僕が細く、小さくなりどことなく女の子っぽい姿になっていたのだ。
え? 普通に気持ち悪いんだけど……。
まぁ成人男性である僕の顔を幾分か女の子っぽくしたところで所詮はおっさんの顔なのだ。さっさと可愛く変更しよう。
さて、どこからいじるか……。
まずは髪の毛だな。なら断然ショートよりロングだな……。
毛の色は……思い切って銀髪とかどうよ?
顔立ちは……姉貴や母さんの要素を盛り込んで……。
ふむふむ、なかなか……でももう少し美形に……。
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「おい、いずんちゅ。いつまでやっているんだ」
急に肩をつかまれながら声をかけられたので、びっくりして振り向くと後ろにひなぞーが立っていた。
「え? そんなに時間経っていた?」
「熱中する気持ちはわかるが、そろそろ先に進んだ方がいいぞ」
どうやらひなぞーも武さんもすでに設定をし終えてナビちゃんにタブレットを返却したそうだ。
いけね、いけね。熱中すると周りが見えなくなるのは悪い癖だなぁ。
僕は細部まで設定したキャラクターを保存してタブレットをナビちゃんに手渡した。
「はい。すべてのタブレットを回収いたしました。これより皆様をレビストフへ転送いたします」
そういうとナビちゃんは何もない空間を指でたたき始める。どうやらそこに僕らには見えないキーボードのようなものがあるのだろう。
しばらく待っていると僕達のちょうど目の前に人ひとりが入れるほどの穴が開いた。
もしかして……ここに入れってこと?
「準備が整いました。涼様よりお入りください」
「マジか……これちょっと深くね?」
武さんは穴の淵まで近づくと恐る恐る中を覗き込んだ。
てかさ、何を怖がっているんだよ。所詮ゲームよ? ゲーム。
「「いいから行けよ」」
なかなか入らない武さんにイラっと来た僕は、ちょっと強めに武さんの背中を押す。
するとほぼ同時にひなぞーも蹴りを入れた。
あぁなんていうコンビネーション。
「てめぇら! 覚えておけよぉぉぉぉ……」
「涼様の転送を確認しました。つぎ陽向様どうぞ」
すごいな、ナビちゃん。ここで起きたことほとんどスルーしてるよ。
「それじゃ先に行くぜ」
「はいよ、行ってら~」
そしてひなぞーも何もなかったように穴へと落ちて行った。武さんが結構な勢いで落ちて行ったのに躊躇いなく穴に入るとか、根性が据わっているんすね……陽向さん……。
「では最後に和泉様どうぞ」
「はいよ~。あ、ねぇ向こうでもナビちゃんと会話ってできるの?」
僕は入る前に気になっていたことを質問した。
「和泉様にそう呼ばれるのは悪い気がしませんね。
私はここのナビゲーションドールなので常に質問には答えられませんが機会があればまた会話もできましょう」
ナビちゃんはニコリともせずに淡々と答えてくれた。
まぁ何かを期待していた訳じゃないけどね。
「じゃ行ってくるよ」
「行ってらっしゃいませ御武運を」
僕は最後までニコリともしなかったナビちゃんに見送られ穴へと落ちて行った。
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