第二十一話 他人の怪我ってちょっとテンション上がる

「ただいま」

チャラ族君との話し合いを終え、気が軽くなって屋敷に戻ってきた。この軽い気持ちだったら、素直にごめんなさいできるかもしれない

尤も、軽くなったのは僕だけで、彼女たちからしてみれば、勝手に動いて、勝手に力になった気になられて、勝手に罪滅ぼしを終えた気でいる、どうしようもないバカ息子なんだろうけど

「あれ、おかしいな、靴はあるからもう帰ってきているんだろうけど」

普段だったら、誰かしらはリビングで何かをしているため、主にハズキちゃんが掃除や洗濯だったり、ヒイロちゃんがお菓子作りだったりなのだが、まぁ何にしても、お帰りの声が聞こえるのだが

まさか、僕に挨拶も返したくないって思うくらい怒っちゃっているのかな。はぁ、普通に謝って許してくれるかな、駄目だったらまた策を考えて謝らないとな

どうしたものかと頭を悩ませながら、リビングの扉を開けると

「しっかりしてください、カズヒトさん。お願いです、死なないでください」

「かずひとさぁん、うぐっ、ひぐっ」

ハズキちゃんとホシロさんが泣きながら、ソファに横になっている奴に、祈るような呼びかけをしている。そしてその奴は、腹に大怪我をしたのか、腹巻の如く包帯がまかれて、その包帯からは血がにじんでいる。にじんでいる血の量からして、相当の怪我だ、ちょっと切っちゃった、程度ではない。漫画で得た知識だから定かではないが、刀のような長い刃物で、腹を貫いたらこんな感じになると思う

「なに、これ」

推測の域を出ないが、現状は分かる。ただし、理解が追い付かない

僕の驚嘆の声で、初めて二人は僕の存在に気付いたらしく、バッと勢いよく振り返った

「リョウガさん、カズヒトさんが、カズヒトさんがぁ」

ホシロさんが、泣きながら僕に抱き着いた。僕なんかにすがるあたり、よほど気が動転していることが窺える。ぽわぽわしているお姉さんだが、何だかんだ一番繊細なのだ

「ハズキちゃん、これどういう状況」

「…リョウガさん。申し訳ありません、お父様を、私は召使いのはずなのに、奴隷のはずなのに、主であるカズヒトさんを、守ることができませんでした…申し訳ありません。申し訳ありません」

何度も袖で涙を拭い、それでも雨の如く涙は溢れる

嗚咽交じりに説明する声は、なんだか痛々しい。聞きにくいなぁもうちょっと頑張って喋れよ、なんて思わなかった自分が、まだ人間味のあるやつで安心したのは、胸の奥にしまっておこう

「はぁ、全く凌雅のやつ好き放題言ってくれますねぇ」

僕が研究室から出て行った後のことだ

「流石に私、イラってきちゃったんだけど、リョウガが戻ってきたらぶん殴っていいかな」

「落ち着きなさいヒアイ、私も思うところはありますが、腐っても、腐食が進んでも、腐敗してもカズヒトさんのご子息ですよ」

「それお姉ちゃんよりひどいこと言っているような気がするのですが。どれだけ腐っているんですか」

「でも腐っているよねぇ。カズヒトさんも腐ってた時があると思うと新鮮だなぁ」

僕がいない間にボロクソ言われてたらしい。いやまぁ、別に良いんだけどね。今度本心で語り合う場でも設けようかな

「まぁまぁ皆さん落ち着いてください。凌雅も凌雅でいろいろあるんですよ、まだ心の整理がついていないだけです。私だって、未だにあの子との距離がつかめていないのですから。大目に見ろとまでは言いませんが、わかってあげてください、あの子も一度大切なものを失くしたことを」

なくなった対象がそれを言うと腹立つな、しかし、あいつがここまで僕のことをフォローしていてくれたとは正直驚きだ

「では、凌雅抜きで行きますか。皆さんの分、鞄を用意しましたから、そこに必要なものを入れてください。それとハズキさん、申し訳ないのですが、朝ごはんの残りで軽いお弁当を作ってはもらえないでしょうか」

「もちろん構いません、腕によりをかけて作らせていただきます」

「あ、私も手伝います、ハズキさん一人では大変かと思うので。お姉ちゃんとホシロさんは、準備の方よろしくお願いします」

僕が屋敷を出た後、荷物づくりとお昼づくりが並行して行われ、滞りなく、これからピクニックに行くかのように、楽しそうに準備は行われた

それから大体三十分後、両方の準備が終わり、以前町を案内してもらったときのように門の前に集合した。どうやら全員で出かけるときは、いったんそこに集まるらしい

「それでは行きましょうか。楽しい思い出を作る、それが凌雅に対する仕返しですよ」

奴も本気で言ってはいないだろうが、僕に向けられた憤りの気持ちを、うまく緩和させるには十分だ

屋敷を出発して数分、他愛のない話をしながら歩き続け、件の森に到着した

僕は結構歩いたように感じたが、実はそんなに離れていないらしい。初めての道って、長く感じる、あれの原理だろう

「ふぅ、着きましたか。少し疲れましたね」

「カズヒトさん、もう息が上がっているの?今度私と一緒にジョギングでもする?」

「ヒアイさんのペースで走ったら、その日はもう何もできなくなりますよ。私の年齢を慮ってくださいよ」

「揺れるおっぱい見放題だよ」

両腕で胸を強調した

「…まぁ体力作りは、中年からが大事って言いますからね」

「なら私も走るー、私の方がおっぱい大きいからぁ、多分ヒアイちゃんより楽しいと思うよー」

「お、おっぱいは、大きければいいってわけじゃないよ、お姉ちゃんホシロさん。カズヒトさんは自身で言う通りいい年なんだから、あまりおっぱいが大きすぎると体に毒だよ」

おっぱいは体に毒って

まぁおっさんとかが、下手に心臓を不規則に動かすと体に悪い、最悪の場合ぽっくり逝くって話は有名だけどね

「そういえばハズキはどうなのよ、あんたも結構おっぱい大きいよね」

「別にジョギングをしなくても、カズヒトさんが胸を見たいと仰るのでしたら、私はこの場で脱いでも構いませんよ。揺れているところが見たいというならば、ジョギングでも縄跳びでも付き合います」

「ですってカズヒトさん、取りあえず拝んでおきます?ハズキのおっぱい」

「ハズキさんなら本当に実行しかねない危うさがあるから遠慮しておきます。なんでもいうことを聞いてくれるって、実はかなり不自由ですね」

……僕も行けば良かったかな。そしたら、何とか言葉巧みに、奴をその気にさせて、ハズキちゃんの胸を拝めたのに

「さて、少々下品な話になってしまいましたが、いったんここでお昼ご飯にしますか。森の入り口付近だとあまりヒトクイは出ませんしね」

「えー、もっとおっぱいの話しようよー」

「しません。なんでそんなにしたいんですか」

「だって私が一番大きいんだもーん」

「もっと別の部分を誇りに持ってください、魔法が使えることとか」

「日常生活で使わない魔法とぉ、日常生活の中でよく目にするおっぱいだったらぁ、おっぱいのほうが良いよねー」

「そんなことない、と言い切れないあたり笑えませんね」

というか、あなたはおっぱいって言いたいだけでしょ

兎にも角にも、おっぱいについて、じゃなかった、森に着いて昼食をとった。和気藹々と。ピクニックみたいなイベントでテンション上がった五人は、あーん、と食べさせ合いっことかやったらしい、微笑ましいな

お弁当を食べ終えた後、当初の目的通りに森の中の探索が始まった

もちろん全員、本当に神様がいるとは思っていないだろうし、何かがあるにしても、そんな都合よく一回目の探索で見つかるとは思っていない。ピクニックついでに、奴からしてみれば、家族サービスで森林浴に来た感じだ

ヒトクイをはじめとする、人間に害のある獣を警戒しながら進んでいき、遂には森の中央に佇む、一際太く高く大きい、天まで届きそうな大樹の付近にたどり着いた

「確か、そろそろ初めて凌雅さんと会った場所ですよね?お姉ちゃんが最初に見つけたから、詳しい状況は分からないですけど」

「あの時だから……あった、あの辺、変に地面が抉られているところあるでしょ。リョウガ曰く、ヒトクイとの激戦の後だって」

「ヒアイが以前話してくれた、リョウガさんがこの森でヒトクイと立ち回った話、にわかに信じがたいですね」

「私だって信じられないわよ、勘で避けて、持っていた細長いもので目を突き刺すなんて」

「ですが、凌駕が生きて屋敷に来たのは事実ですし、ヒアイさんも見たのでしょ、その細長いものがヒトクイの目に突き刺さっているのを。意味のない嘘をつくような奴ですし、意味のある嘘もつくような奴ですが、ここは信じておきましょう。もし嘘だったら、凌駕を一人一発ずつ殴ることを許可しますよ」

勝手に変な許可をするな。せめて平手にして、女の子はグーパンよりビンタの方がなんかいい

「別に嘘だからってリョウガさんにそんなことをするつもりは…ホシロさんとお姉ちゃんは何やっているんですか」

ヒイロちゃんの視線の先には、腕を解すように回している二人がいる

「私のグーが火を噴くよぉ」

「ヒアイちゃんパンチで、あの嘘吐きを成敗してやるぜ」

なんで僕の話が嘘なこと前提なんだろう。日頃の行いかな

「それにしても、静かですね。リョウガさんがここでヒトクイに会ったのなら、いつ出てきてもおかしくはないのですが」

「そうですね、この森はヒトクイが出るってところを除けば、静かで穏やかでいい場所なんですけどね。私と凌雅がこの森に現れた謎が解明できたら、本格的にヒトクイをどうにかして、ある程度の茂みや木々の伐採、道の整備もして、この森を観光として開放するのもいいですね」

奴にとっては、何の気もなしに発言したのだろう

奴にとってもだし、彼女たちにとっても、今の言葉は取り立てて気にするような言葉ではない、僕だってその場にいたら聞き流していただろう

しかし、世の中は案外狭量だ。ちょっとした言葉を聞き流すことのできない人間だっている

尤も、今回のコレは、人間と定義できるか微妙なところだ

「ねぇ、今の話本当?」

ヒアイがさっきまで見ていた、僕とヒトクイが激戦を繰り広げた跡地から声がした。ヒイロちゃんよりも小さい、少女と呼んでも差し支えない女の子の声だ

その場にいた全員が一斉に声のした方を向く

そこには、熊と虎とライオンを足して三で割ったような獣、ヒトクイに跨った女の子がいた

ハズキちゃんは反射的に、ヒトクイに跨ることの危険性を叫ぼうとしたらしいが、思いとどまった

そんなこと叫ぶどころではない、一目見ただけで異常ということが分かった。ただそこにいるだけ、彼女はそれだけで異常だ。その場にいる全員が息をのむ

「君は…迷子って訳ではなさそうですね。一応無意味だと分かっていても聞きます、お父さんとお母さんはどこに居るのですか」

「えー、質問しているのは私だよ。でもまぁいいや、誰かとこうしてお話するのは久しぶりだからね。あなたの質問に答えたら、私の質問にも答えてよ」

年相応、なのかは定かではないが、見た目通りの年齢なら、年相応と言える可愛らしい笑顔を浮かべた。まぁ猛獣に跨りながら、そんな笑顔を浮かべられるのは異常でしかないのだが

「もちろんお約束しますよ」

「やったー。えっと、お父さんとお母さんだよね、私にはいないよ。はい、質問に答えた、だから次はあなたの番だよ」

両親がいない、それが何を意味するのか分からない奴でもないが、敢えてそれを何でもないように、へーそうなんですか、とだけ返した

「さっきの話の真偽ですよね、本当とは言い難いほどの机上の空論ですよ、恥ずかしい妄想と言っても過言ではありません」

「へーそうなんだ」

先のやつの返答を、揶揄うかのようにそのまま返した

「ええ、まずは国王様からの命であるこの森の調査からです。異世界につながる何かがこの森にあるはずなので、それを解明しなければなりませんし。ヒトクイについてや、伐採についてはその後ですよ」

かなり情報を与えたように思えるが、奴なりの揺さぶりなのだろう

そして奴の思惑通り、揺さぶられた

「やっぱり本当じゃん。何が机上の空論よ」

一番最初に反応したのはヒアイだった

「危ないッ」

全員を代表するように前に出ていた奴を、全力で突き飛ばした。人ってその気になれば、こんなに吹っ飛ばすことができるんだ、そう思わせるのほどの強烈な一撃だ。と、同時にその場に異様な穴が開き、突き飛ばすために飛び出したヒアイは、その穴に飲み込まれた

それは一瞬の出来事で、その穴が閉じたあたりで、やっと状況を認識できたヒイロちゃんが、キャァァァ、と叫び声を上げた

「ありゃ、邪魔されちゃった、残念。でも次は逃がさないよ」

「…早計でしたね、まさか本当に存在するとは」

突き飛ばされ、だらしなく横に転がっていた奴は、納得と後悔、その他諸々が織り交ざったような声でつぶやいた

「皆さん、ヒアイさんは私が絶対何とかします。だから今すぐ逃げてください」

「で、でも、お姉ちゃんが…」

「これは命令です、今すぐ逃げなさい。相手が悪すぎます」

今まで、どんなことがあろうと命令なんて言葉を使わなかった奴が、そう言った時点で、それはもう切羽詰まった状態であることは確か。そもそも、こいつが焦ったり、血相を変えたりしているのを見たことない

だからこそ

「嫌です、カズヒトさんの方こそ、私たちが時間を稼ぎますから逃げてください。ホシロさん,

あなたの以心伝心の魔法、使う準備を可能な限りでいいから整えて。ヒイロ、あなたはカズヒトさんを屋敷に戻るまで守り通して」

「はい」

「わかったよ-」

事の異常さ、事の性急さを察した彼女たちは、奴をその少女から庇うように前に出た。まるで通せんぼをするように、大きく腕を拡げた

「なっ!?馬鹿なことはやめてください。私の命令が聞けないんですか、あなた方でどうにかなる相手ではありません。今すぐ逃げなさい」

「カズヒトさんでもどうにかなる相手ではないのでしょ、その口ぶりですと。だったら、優先すべき命の確保が最善です、私たちのようなどうでもいい捨てられる命より、カズヒトさんのような選ばれし者の命の方が大事なんです。それにもともと私たちは、奴隷として売られた身や、孤児から奴隷になった身です、寧ろこういう風に大切な人を守るのは順当ですよ」

言うことだけ言うと、奴の言葉を聞く前に、ヒイロちゃんに目だけで合図し、奴を無理やり連れていかせた

流石ヒアイの妹なだけあって、ヒイロちゃんは足も速く力も強い、見えなくなるまでそう時間はかからなかった

「さてと」

気を引き締めるように、ヒトクイに跨っている少女に意識を集中させる

「わざわざ待ってくてるなんて、ありがたいですね。後ろから襲われるくらいは覚悟していたのですが、まだ交渉の余地はあると受け取ってもいいのですか?」

さっきまで奴がいた場所に、奴が一歩前にでいていた場所に、今度はハズキちゃんが立った

「んー?別に交渉してもいいけど、そんなことのために待っていたわけじゃないよ。だって私がとっちめたいのは、男の人のほうだもん。お喋りしている時に襲ったって、どうせあなた達が防ぐでしょ。だったら、ねぇ」

「まずいですよぉハズキちゃん。この子…」

魔法の発動条件を整え、少女の考えを読んだホシロさんは、ハズキちゃんにその少女がやろうとしていることを伝えようとしたが、遅かった

「ばいばい」

ヒアイが落ちていった、異様な穴が少女の目の前に現れ、ヒトクイの背中からピョンと、その穴の中に飛び込んだ

少女が飛び込むと同時に、その穴は閉じられ、何の痕跡も残らない

残されたのは、ヒトクイが一頭とハズキちゃんとホシロさん

「あの子はいったいどこに、いやそれよりも、今はカズヒトさんのみの安全を、でもヒトクイだってここにいるし、もしヒトクイを連れてカズヒトさんのところに行ってしまったら…」

凛としている割には変態で、結構逆境に弱いらしい

「こっちですよぉ」

緊急時でもおっとりとした印象は消えないようで、どこか間の抜けた声で、ハズキちゃんを呼び掛けた

それと同時に、いつの間にかカバンから取り出していた、奴からもらった細長い筒に火をつけ、ヒトクイの足元に投げつけた。まるで忍者の持っている煙玉のように、モクモクと白い煙が立ち込める

火や煙の類の物を獣が嫌がるのは、世界共通らしく、ヒトクイは警戒するように、バッと後ろに飛びのいた

その瞬間を見逃さず、ホシロさんとハズキちゃんは走り出した

「ありがとうございます。少し、パニックになっていました」

「大丈夫だよー、それよりもカズヒトさんを探そぉ」

「はい。ホシロさん、あなたはあの少女から、何を読み取ったのですか」

「可能な限りだから全部読めなかったけどぉ、あの子は人間じゃなくてぇ、神様だった」

「かみ、様ですか…もしかして」

「急いだほうが良いよねぇ、あの神様はぁカズヒトさんとリョウガ君を連れてきた、空間を操る神様らしいからぁ」

「空間ですか、瞬間移動なんてお手のものってことですね」

「カズヒトさんに何かしようとするとぉ私たちが止めるからねー、少し引き離してから狙うみたいだったー」

走りながら、とてつもなく嫌な胸騒ぎがした。そして、彼女たちの脳裏には、自分が売られたときの記憶が蘇った

大切なものがなくなる、そんな記憶が頭から離れなかった

伝え聞いている僕だから、こう他人事みたいに思うけど

まぁなんというか、美少女の胸騒ぎというものは的中するものらしい。便利なものだ

木々や茂みをかき分け、道なき道を無理やり進んでいき、予想よりも早く奴とヒイロちゃんに追いついた二人、否、追いついたのは奴にだけで、ヒイロちゃんはもう既にいなかった

「もぉあなたが悪いんだよ、変な抵抗するから、折角とっちめるくらいにしようと思ってたのに。まっ、前に見つけたこのかっこいい武器を試せたから、良しとしようか」

ずぶずぶずぶ、と長い剣が奴に突き刺さり、腹から背中へと身体を貫いている

「やぁ」

そんな可愛い掛け声とともに、少女は奴から剣を引き抜いた

奴の体は、まるで電池が切れた人形のように、一切の力も感じさせずに、重力に従いその場に倒れ込んだ。そして、夥しいほどの血が倒れている奴を飾っていく。順番は逆だが、奴の体を土で汚さないように、真っ赤なカーペットを敷いているようだ

「あ、あぁ、カズ、ヒトさん。イヤァァァァァァ」

「うるさっ、思ったよりうるさいなぁ。あーやだやだ、もしここでこいつらに気が付かなかったら、こんな煩いのが毎日押し寄せてくることになるなんて、やっぱりとっちめずに刺してよかった」

帰ろっと、そう言って少女は興味なさげに、穴の中に消えていった

森には、ホシロさんとハズキちゃんの泣き声だけが響いた









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