第2話 怠けちゃう体質なんですっ

今日も私は、朝から携帯を見つめている。

朝ごはんも親に注意されるまではゲームをしながら食べていたし、そのあとはソファに寝そべりながらずっと動画を見ていた。そして気がつけば11時になり、お昼から宿題をやろうとおもい、お昼になり。こんどは3時から宿題やろうになり、気がつけば夜になっていた。


「よ、あかり」


「あ、みっくん!みっくんじゃん、今日も来たんだ。もう夜の10時だよ、こんな時間に何しに来たの?」


「いや、きっとあかりは一日中携帯を使ってたんだろうなって思ってさ。」


う。まさにその通り。そっかあ、みっくん、私に勉強しろっていうために家に来るようになったのか。イケメンに注意されるなんて。。。幸せなのか恥ずかしいのか。。

だけど、私ももうすぐ高校3年生。大学受験するんだから、勉強も頑張らなきゃ。



「わかったよ、みっくんがそう言うなら、もう携帯みない。今日からめっちゃ頑張って勉強する!」


私だって、やればできるんだから。一日中勉強だってできるもん。。。明日からなら。。。たぶん。。


「それは難しいんじゃない?俺、あかりが携帯中毒なのしってるし。やめようとしたらそのうち禁断症状出るよ。」


にやにやしながらみっくんはそういった。む。なんかちょっとムカつくぞ。


だけどね、

と、みっくんは続ける。


「ちょっとづつ、勉強の時間を増やしていけばいいんだよ。だから、今日は俺と一つ、約束をしよう。いいね、あかり?」


そんな顔でいわれたら、やだと言えるはずがない。有無を言わさぬ表情に、もともとの顔面スペックの高さがあいまって、魅力的だし逆らえない。


「う、うん。する。約束する。で、どんな約束なの?」


「一日必ず一問は、どの教科の問題でもいいから、解くこと。」


え、超楽勝じゃん。もっと、やばめなやつかと思ったのに。


「お、楽勝、っておもったろ。今。でも、必ず、だよ。どんなに疲れてても、宿題が多くても、他の勉強してても、問題集の中から一問、必ず解く。」


「わかった。頑張ってみる。言っとくけど、プラスアルファでなんかやるかも、なんて期待しないでよ?わたしはそんな頑張り屋さんじゃないのーー。」


そう言って、さっそく今日の分の問題を解くことにした。

うーん、どの教科にしよう。そうだ、化学がいいかな。授業で何言ってるかちんぷんかんぷんだし。

始業式で配られて以来、ほとんど開いたことのない化学の問題集を見つけ出し、さっそく机に広げる。あ、そっか、問題解くなら紙と鉛筆が必要か。かばんからノートと筆箱を取り出す。

案の定、全くわからない。一番簡単な問題なのに。

でも一問だけだし、わからないながらもてきとーに答えを埋めていった。丸付け。全問不正解。いつもは解説読んで終わりだけど、小問でも3つぐらいだし資料集で調べてみた。へー、ヘキサンがシクロヘキサンになって、ベンゼンができるのか。


「お、終わった感じ?みせてみせて」


みっくんがノートを覗き込む。


「やるじゃん、めっちゃ詳しく書いたね。ほら、むしろ一問だけのほうが、多く学べたでしょ。もちろんこういう解き方を何問もできればそのほうがいいけど、あかりはまず一日一問な。」


「約束は守るよ。一日一問は解く。そしたら、遊んでていい?」


「うん。いいよ。あかりがもうちょっと頑張れそうかなって思ったら、また来るよ。それまでちゃんと頑張るんだぞ。」


そういってみっくんは、私の頭をぽんぽんってしてくれた。ふふ。褒められるのって、結構好きかもしれないな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

みっくんと、怠け者の私 紫ガール @murasaki-girl

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ