21

さらに近づいたそいつの喉元に、フレイルを突き立てた。


「ギャン」


子犬のような声を発して、そいつは倒れた。


が、頭を殴られてうずくまっていた奴が再び襲ってきた。


円羅はそいつもフレイルで突いた。


そいつが倒れると、もう一方が再度攻撃を仕掛けてきた。


そいつが倒れると、もう一方が。


狙ったわけではないが、円羅は二匹を交互に攻撃できるという幸運に恵まれた。


――よし。


何度か攻撃を仕掛けると、やがて一方が、続いてもう一方が倒れて起き上がってこなくなった。


双方とも嫌な気が消えうせた。


共に死んだのだ。


――あっちはどうなっているのだろう?


闇の中、何かが動き回る音がいくつも聞こえる。


時折、おそらく悪魔のものだろう、甲高く短い叫び声のようなものが聞こえてきた。


円羅がそのまま聞いていると、いきなり悪魔が目の前に降って来た。


何処から来たのかはわからなかったが、印象としては上から落ちてきたように感じた。


が、向かってきたのは一匹である。


円羅がてこずったのは最初の数秒だけで、後は圧倒し、倒した。


そうこうしているうちに、あたりが朝焼けに包まれた。


日が昇って来たのだ。

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