22
あいかわらず続く音のほうを見ると、何かが動く影が見えた。
いくつもの影が走り回り、その中で一際動きの早い影があった。
おそらく神楽なのだろう。
その影が別の影と交錯すると、された方の影が動きを止め、棒のように倒れるのが見えた。
けっこうな数の影が倒され、そのうちに目が慣れ、日が昇って全てが見渡せるようになった時、神楽が目の前に現れた。
神楽が倒れている悪魔に手をかざすと、それらはみな紫色の炎に包まれた後、煙のように消えてしまった。
「やっぱりそこそこ闘えるわね。見込んだ通りだわ」
「おかげさまで。それでみんなやっつけたのか」
「百は始末したわ。全部消したけど」
やはり戦力的に神楽の方が円羅よりも数段上のようだ。
人間ではないとは言え、人間の若い女にしか見えない神楽にここまで差をつけられるとは。
子供の頃から一日も休まずに続けてきた厳しい修行が、ちょっとだけむなしいものに思えてきた。
「悲観することは無いわ。あなたは人間では五百年ぶりに見たジャキマと闘える存在よ。充分特別だわ。自信持っていいわよ」
「私の考えていることがわかるのか?」
テレパシー、といった言葉が円羅の脳裏に浮かんできた。
相手は神楽だ。
それぐらいのことは出来そうだと。
「私でも人間の心は読めないわよ。でも顔を見ればわかるわ。私は人間の時間からすれば、とてつもなく長い間人間を見てきたわ。だからわかるのよ。それにあなた、人間の中でもわかりやすい方だわ。ほんと正直者ね。いいことよ」
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