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「ええ、いるわよ。今日本にいるのは私だけだけど。北米、南米、ヨーロッパ、中国、アフリカ、中東、その他。何人もいるわよ」


「そうか。では聞こう。君たちは一体何者なんだ」


「それは言えないわ」


「言えない? それは人間が知ってはいけないこととか、そんなことなのか」


「いいえ、知ってもべつにかまわないんだけど、ちゃんと説明しようとしたら結構時間がかかるのよ。つまり、めんどうくさいのよ」


 円羅は腰砕けになりそうになった。教えない理由としては、最低の理由だと思った。


「まあ、知ってても知らなくても、私やあなたのやることは、全くかわらないわ」


「……なるほど」


そう言うしかなかった。円羅は、神楽はこんな女だと思うことにした。


「それじゃあ、もう寝るわね。おやすみなさい」


神楽はそう言うと、その場に横になった。


「おいおい、そんなところで寝たら、風邪ひくぞ」


「風邪なんかひかないわ。私はどんな病気にもならないのよ」


まあ人間でないのなら、その心配は無用か。円羅は立ち上がった。

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