12

「お風呂沸いているかしら」


「いや、まだ沸かしてない」


「そうなの」


神楽は迷うことなく風呂場に向かった。


此処からだと風呂場は見えず、初めて来た者には何処に風呂場があるのかわからないのだが。


でも見ると神楽は、足に履いた甲冑を脱いでいなかった。


木の廊下を金属の靴で歩いている。


「ちょ、ちょっと」


神楽には円羅の言葉など耳に届いてはいないようだ。


そのまま風呂場に入ると、浴槽に手をかざした。


すると浴槽に張ってあった水から湯気がたちこめてきた。


どうみてもお湯になっている。


「こ、これは」


すると神楽が何も言わずに帯を解いた。


すぐさま豊満な二つのふくらみが露となった。


「えっ」


円羅は慌てて風呂場を後にした。



円羅は待った。


それしかなかった。


とにかく神楽が風呂から出てこないことには、話にならない。


そのまま待っていると、風呂場から歌が聞こえてきた。


透き通った美しい声だ。


もともと綺麗な声だとは思っていたが、歌うとさらに美しくなる。


どこの国の言葉なのだろうか。


日本語、英語、中国語ではなかった。

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