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が、どう見ても神楽のほうは、そんなことを気にしている風には見えなかった。


「じゃあお願いね」


「わかった」


外に出て円羅がバイクに乗ると、神楽が後ろに乗り抱きついてきた。


豊かな乳房が円羅の背中に押し付けられたが、気にしないようにしてそのままバイクを発進させた。



家に着いた。


お寺の裏にある古い一軒屋。


北と西がお寺の敷地で東と南はちょっとした崖になっている。


周りに民家などは無く、日当たり良好な家である。


「ここなのね。なんだか隠れ家みたいな家ね。私にはぴったりだわ」


神楽はバイクを降りると入口に行き、年季の入った戸を引いた。


鍵がかかっていたはずのそれは、何の抵抗も無くあっさりと開いた。


――?


神楽が振り返った。


「鍵がかかっていたみたいだけど、そんなの私には関係ないわ。一応言っておくわね」


そして中に入った。


円羅が後から入ると、神楽が言った。

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