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「……」


「これでいいわね」


神楽は円羅を見た。


「ところであなたの名前は」


「私は円羅真空だ」


「えんらまくう。変わった名前ね」


「よく言われる。名前なんかまくうではなく、しんくうと読まれるし」


「じゃあ、あなたの家へ案内してちょうだい」


「えっ?」


「細かい説明は後よ。時間もないし。さっさと案内してちょうだい」


円羅は正直と惑ったが、結局承諾することにした。


少なくともこの女は化け物を退治している。


その雰囲気も含めて、悪しき者とは思えなかったからだ。


でも問題が一つあった。


それは若い男性の一人住まいである円羅の家に、中身はともかく見た目は若くて美人で豊満な肉体を持つ女性が来ることなのだ。

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