第7話 俺はまた変態に会っちまった

俺は”飛翔フライ”で空を飛んでいた。

「にしてもこの世界ってどこまで広がってるんだか」

俺はぶっ通しで空を飛んでいた。正直、そんな眠くないのだ。

「ご主人。今からどこへ行くのですか?」

「トゥグバリア王国だ。取り敢えず、武器調達と何かしらの道具を買っておかないとな。そう言えば、ずっと陰に入ってるけど食事とか必要ないのか?」

「我らは主の魔力を食べるからそんな問題はない」

「魔力ってどん位食うんだ?」

「ほんの一欠けらだ。そう魔力をガブガブと食べたりはせん」

俺は内心ホッとしていた。こいつらが結構食べてたら俺の魔力すぐ無くなってしまう。

なんやかんや話していると、トゥグバリア王国に着いた。

今は夜中の2時だというのに日中と変わらない光だ。

「何でこんなに明るいんだ?」

「トゥグバリアは光神の王がいるからな。その恩恵だろう」

「そんなのがあるんだな」

「主が会ったあの女2人もだぞ」

「何のだ?」

「風神の王と炎神の王だな。髪が白銀は風神の王。赤色は炎神の王だ」

「そうだったのか」

俺はあっさり受け止めた。いや、話しが大きすぎて俺の脳が反応しないのだ。俺は門の前に立ち、ギルドカードを見せた。そしてカードを受け取り、歩いて行った。

真っすぐ歩いて行くと、大きな光の柱が立っている。この国の象徴なのだろうか。

「君、この国は初めて?」

そう言って声をかけて来たのは見知らぬ女性だった。

「そうだけど」

そう言うとその女性は俺の腕に胸を押し付けた。

「じゃあ、一緒にお茶でもどうかしら?」

「遠慮する」

俺が腕から離れようとすると、女性はもっと胸と当てて来た。

「冷たいけどそこがいいわね。私とお茶しましょうよ」

「だから、俺はいい」

そう言うとまた横から女性が出て来た。

「抜け駆けはずるい!私も誘おうと思ってたのに!!」

「早い者勝ちでしょ!?」

そう言うと、どんどん女性が俺の周りに集まって来た。俺は揉みくちゃにされそうだったので逃げた。

人が居過ぎて俺が抜けた事は気付かれていない。

俺は近くにあった武器屋に入った。

「坊主、人気もんだな」

「ったく。勘弁してほしいぜ」

俺は武器屋の中にあった短剣を手にとって気に入ったので買った。

「なぁ、おっちゃん。あの光の柱って何なんだ?」

「あれか?あれは光柱だ。この国の国王の寿命を表しているんだ。国王がまだ元気な時はあんな感じで太く長いが、命が短いと細くなり命が尽きるとあの柱は無くなり恩恵も次の王が選ばれるまで無くなる」

ほう。なら、他の国もそうなっているのか。

「また、あの柱の周りに黒い靄がかかると国王が何かに取りつかれているとされているんだよ」

「そうか。ありがとう、おっちゃん」

俺は話しを聞いて店を出た。流石にあの女達には見つかる訳にはいかないので屋根の上に登り進んで行った。

すると、目の前に女性が座りこんで疲れ切っていた。

俺は無視してその場を去ろうとした。

「……待ちなさい」

「なんだ」

「あなた、何でこんな所を歩いているの?」

「女達に騒がれるからだ。それだけだから安心しろ」

俺はその場を後にした。だが、女性は俺を行かそうとしない。なのでフェイントをかけて行くとあっさり通り過ぎる事が出来た。

「あなた一体何者なのかしら?」

「俺は黒鉄愁斬だ。で、あんたは?」

「私はアンリ・トゥグバリア。で、本心は何ですか?」

「だーから!俺はただ単にあいつらを避ける為に来たって言ってんだろ!?」

俺が大きな声を出してしまい、さっきの女達にばれてしまった

「あ!あそこにいた!!」

「げっ!」

その女達は屋根に昇って来た。

「じゃ、俺は行くから!」

俺はダッシュでその場を去り、屋根を飛び移りながら逃げた。


「観念しなさい!!」

「嫌だね!俺は絶対に捕まらねぇよ!!」

そう言って走っていると、俺は柔らかいものに当たりそのまま倒れてしまった。

「なんだ?」

「それはこっちのセリフですよ。騒がしいですね」

俺が顔を上げると、目の前にさっき見た顔があった。それはアンリ・トゥグバリアだった。

「こ、国王様!!」

ああ。またこの展開か。

「まったく。よそから来た男性を追いかけるなんて」

「で、でも、こんないい顔をした男の子が入ってくるんですよ!?ちょっとは興奮するじゃないですか!!」

あれ?この人、国王なんだよな?なのになんでこんな軽いんだ?

「そうですね。結構かっこいいですね」

そう言って俺の顔をまじまじと見ていた。

「何」

「いえ。やっぱりかっこいいと思いまして。それに……」

そう言うと俺の顔に口を近づけてキスをしてきた。しかも、舌もだ。

「うっ!!お前も変態か!!」

「ええ。と言っても、節度は守っていますよ」

そう言うと

俺はまた変態に会っちまった。

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