第4話 お、王様!?

取り敢えず俺は宿に行くことにした。ギルドにも宿はあるのだが、あの女性達もその宿にいるらしいので止めた。

あんな奴らと一緒にいたら俺の身が持たない。

「疲れた。あの人達、強かったな。あんな痴女みたいだったけど」

俺は服を持っていなかったので、そのまま寝てしまった。


朝起きると外は大賑わいだった。明日は感謝祭スィンクギビングというお祭りがあるらしく、その準備で皆大忙しだった。

「俺も昨日売ったクリスタルの金で何か買うか」

昨日、ギルドで倒したモンスターのクリスタルを売ったらなんと20000Jだった!

あ、Jというのはジェニーと言ってお金の単位だ。1J日本円で言うと、500円だ。つまり、俺の所持金は日本円で言うと1000万円と言う訳だ。冒険者でこんな金を持っている奴は早々いないらしい。昨日討伐したモンスターはボスだったらしく、相当な値打ちだった。

「服っつてもな。プライベートでいっか」

俺は呉服屋に向かった。看板は訳の分からん文字でいっぱいだ。だが、外見からして服屋に違いない。

「いらっしゃいませ」

小さな女の子が店番の様だ。町の服装を見るからに若い者はTシャツにズボン。腰にスカーフとまあまあな格好をしていたので、俺もそれにすることにした。

「お会計は5Jになります」

俺はきっかり5Jを払った。それにしてもしっかりした女の子だ。

「毎度ありがとうございました」

店を出て、俺はセリスティア・バルドーナの事を思い出した。

「確か、学院って言っていたな。それってどこなんだ」

俺は腹ごしらえついでに飯屋に行き、尋ねてみた。

「学院ってどこにあるんだ?」

「学院?お客さん、入学するのかい?」

「いや。ちょっと会わなきゃいけない奴がいてな。で、どこにあるんだ?」

「この飯屋を出て、左に曲がるとすぐだよ」

「ありがとう」

俺はテーブルに代金を置いて、学院に向かった。


学院はとても大きかった。俺は学園の門前にいた兵士に聞いてみた。

「ここにセリスティア・バルドーナってやつはいるか?呼ばれたんだが」

「その方はいるが、何の目的だ?」

「うーん。目的っていうか、呼ばれたんだけどな」

そう困っていると、学院の奥から女子生徒があるいて来た。

「待て。そいつは私の客人だ」

「セリスティア様!」

セリスティア様?貴族様か何かか。

「愁斬。こっちに来い」

そう言うと門は開き、俺は門の中に入った。

「予想以上に早かったな」

「まあな。獣道を進んできたから早く着いたんじゃないのか?」

「獣道か。そう言えば、お前は冒険者なのか?」

唐突に聞いてきた。

「ああ。と言ってもさっき登録したばかりだけどな。何でそんな事聞くんだ?」

「ちょっとな」

「そう言えばセリスティア。お前、剣士なのか?」

「ん?いいや。私は魔導師だ」

「何で剣なんて持っているんだ?魔導師なら魔術を使えばいいだろ?」

「護身用だ」

ああ、こいつは貴族様だったな。ま、物騒だし持っているのは当たり前か。

「そう言えばお前って何者なんだ?」

「私は国王だ。バルドーナ王国、現国王セリスティア・バルドーナ」

「お、王様!?」

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