第28話 決戦3
ここにきて人型の動きがかなり早い。
フェビリの眼前に早くも陣取り、迎え撃つ体勢が出来上がっている。
「ふんっ!」
中でも二刀流を決める一体の
アイツだけ動きが段違いだ!
ケリーとエスタバサ、二人の射手をガードしつつ前進していたチェイス。依然として
そんな中一際巨大な本体を持つ一体の
こちらに迫り来る
二刀を巧みに操る
見事に前衛組が押さえられてしまった。
「オリバー、張り付くぞ!」
「おうっ!」
迫り来る
近づいて初めて理解する。
こいつ、デカイすぎたろ!
通常サイズの
「あれでニードルガンを撃つつもりじゃあ無いだろうな!シャレになんねぇぞ!」
オリバーが叫ぶ。蜘蛛の
打ち出される物が鋼の杭であるならば直撃を受けたが最後、自分たちの身体は地面に縫い付けられてしまう事は想像に難くない。
しかし、今、この足を止める訳には行かない。
むしろ足元に辿り着ければ活路は見えるはず!
人型が一体、そうはさせじと進路を阻んで来るが、チェイスは居合いの要領で瞬時にそれを一刀両断に切り捨てた。
角付きの
位置どりは完璧に入った。
そう確信したその時、ボゥンッ、ボゥンッ、ボゥンッ、ボゥンッ角付きの頭上辺りから爆音が鳴り響く。
チェイスもオリバーも思わず周囲を見渡す。しかしその砲撃によって負傷した者は勿論、辺りには破壊の痕跡は全く見当たらない。
もしや!
後ろを振り返るとケリーやエスタバサが驚きの表情で上空を見上げている。
なんだ?ヤツは何か飛ばした?・・・いや、打ち上げたのか!
チェイスの頭の中に件の新型の
「上だ!上に気を付けろ!」
反射的に叫ぶ。角付きから身を離し空を見上げると。サル型が空にいた。円を描く様に宙に舞っている。
「あれは、風に乗って滑空しているのか?」
観察するとサル型の腕と脚部の間に薄い膜の様な物が張られている。滑空状態のヤツらはサルよりもムササビに似ているかも知れない。
「何だよアレは!あの滞空時間、シャレになんねぇぞ!」
オリバーも叫ぶ、確かに頭上をあんな物に取られた状態ではオチオチ戦闘なんて出来やしない。そして言っているそばから三体のサル型が急降下を始める。狙いはケリーか!
「ケリー!」
ケリーは弓を構えながら軽く後方へ跳びのく、そして一発、二発、三発と襲いかかってくるサル型を全て撃ち落としてしまった。
加速状態の敵によく当てる。
ケリーの腕前には舌を巻くが護衛役としてはやはりもどかしい。
「きゃあっ!」
人が倒れる物音とエスタバサの悲鳴が聞こえた。
しまったと思う暇もなかった。倒れたエスタバサの上に突き刺さったのは銀光を放つの槍の様な形に変化しているサル型。
偵察の時にチェイスを襲ったサル型も同じ形状をしていた。
あの時は木の上から落下して来た物とばかり思っていたが、完全に読みを外された!
そして倒れた彼女の側には、その足元にもう一匹のサル型。エスタバサの足を払ったのは恐らくアイツだ。
非力な腕に思えたソレも不意打ちならアリだ。
憎々しげに角付きとサル型を見る。しかも上空にはまだ四匹のサル型が滑空している。だがこの角付きを放置して置くと何時追加のサルを打ち上げて来るかも知れない。
「放っておく事なんて出来ないよな」
チェイスは覚悟を決めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます