第24話 合流2
「サル型?そう言えば、そんな呼ばれ方をしていたか、ああ、それが岩壁から突然降って来やがったのさ。そんであっという間に隊が分断されっちまって・・・気づいた時にはこの有様さぁ」
いろいろ端折っているが、要するにエスは全力で逃げたから、後の事は分からないって言うことだろう。
ああ、その時の様子が手に取るようにわかるのは気のせいじぁないよな。
「じゃあ、急いで合流した方がいいな。で、あんたはどうすんだエス?」
オリバーはからかい加減を隠そうともせずに問う。
「うぇっ、い、いやこの俺は見ての通りボロボロだ、残念だが足手まといにはなりたくねぇ。そ、そうだな、俺はこの事を北側からくる連中に知らせてこよう」
見た所、エスは特に外傷を負っているわけでは無い。
本当に分かりやすい言い訳だが、確かに足手まといには違い無い。
「オリバー、出発しよう。後の事はエスさんに任せようじゃ無いか」
「ちょ、ちょっと待ってくれぃ。連戦連戦で武器を破損しちまった。手持ちの武器で余裕があるなら貸してくれねぇか?」
視線はチェイスの刀と背中のバスターソードに注がれている。既に、まったくもってエスは足手まといになっていた。
「ふぅ、こういう時だけは
チェイスは足下に転がっている
それを再び人類の為に使わせて貰っても、バチは当たるまい。とはいえ、そのまま彼に手渡すのは以前の持ち主にも気がひける。
チェイスはエスの目の前の岩石にその剣を突き刺す。
「うん、物は悪く無い。じゃ、俺たちはこのままこの岩壁沿いを南へ進んでいくから、今度こそ後は頼む」
うむを言わせぬチェイスの迫力に、エスは「お、おぉぅ」と、しどろもどろに答えるのがやっとだった。
ふぅ、思わぬ遭遇戦になったが、第三部隊はこの近くまで来ているようだな。
残したエスが気になったのか前を歩くケリーが後ろを振り返る。
エスはチェイスが突き刺した剣を引き抜こうと懸命に足掻いていた。さながら伝説に語り続けられる聖剣を引き抜こうと踏ん張る、村人Aである。
「あの人、大丈夫なんでしょうか?」
「・・・まぁ大丈夫だろ、流石に落ち着けば足元には槍も落ちている事に気付くだろうさ」
正直なところ、俺達の歩む先に
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