第10話 偵察6
「んお、お見事」
ソフィーが賞賛の声を上げた。
「な、なにがどうなったんだ?」
今だ事態を飲み込めないでいるオリバーに。
「チェイスさん、一機撃破です!」
少し興奮気味にケリーが答えた。
落下して来たのも、やはりサル型、しかし正面の四機ではない。五機目のサル型だ。それは鋭い鉤爪を伸ばしたままプラプラと揺らし無念そうに空を掻いていた。
身を引いて一刺し。
サル型はチェイスの刀によって胸部を刺し貫かれ、今は身動き一つしない。
ふぅ、コアの位置が
「はっはは、は、まぐれにしても良く動けたもんだ。我ながら。・・・ソフィー、ケリー、正面に変化は?」
未だ緊迫感の抜けぬチェイスの通信に、弛緩しかかった空気を振り払いオリバーも警戒感を取り戻す。
「うん、正面のサル、相変わらずだんまり、でもチェイスがそれを突いた時、
「すみません、此方は死角になって正面、四機のサル型しか僕には確認出来ません」
敵は最低六機、倒せない数では無い、が。
無闇に此方に襲ってくる事は無し。これで
「撤退しよう」
決定を下したチェイスは、左手に貫いたサル型をぶら下げながら後ずさる。勿論、警戒も怠らない。
ソフィーの近くまで来ると。
「変化は?」
「全く動かない」
「了解」
其方に近づかなければ相手にしないってか?
「オリバー、ケリー、来た道を辿って帰還する。オリバーは先行してくれ、ソフィーはその後ろへ、ケリー、俺がそこまで移動するからフォロー頼む」
チェイスはソフィーが離脱したのを確認した後、敵を背に向き直り全力疾走。
走りながら刀に突き刺さったままのサル型を改めて眺める。
『ヴァルキリュア』の効果があったとしても、かなり軽い。
自分を刺し貫こうとしたコイツには、確かにそれだけの力を感じた。大木の枝から落下して来ただけで、果たしてあそこまでの威力が出せるものだろうか?
まだまだこいつには秘密がありそうだ。
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