第20話
せめてもの幸運に、すぐに小雨が降り出し、犬の気配は消えていった。
コーロの血の匂いが消えたのだろう。
何かの芝居であるような死の直前の感動的なセリフもなく、コーロは脚を微かに動かし頭を掻く仕草を見せた。瞳を薄め、一度大きく息を吸った。そのまま途切れ途切れの断続的な呼吸は聞こえなくなった。
コーロの丸くクリクリとした瞳は急速に輝きを失った。
コーロは最後に笑顔を見せてくれたのだろうか。言葉などはいらないし、コーロは私の元に帰って来てくれた。それだけで充分すぎるほどだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます