第14話

昔に戻ったように過ごしたところで彼は確実に老いていった。力いっぱい遊ぶこともままならない。

少し元気な昼下がりに、彼は花を一輪とってきて私の頭に飾りつけてきた。

「似合ってるよ。君が若ければ、だけど。」皮肉めいた笑顔で私から逃げる。

やれやれ、子供じゃあるまいし。と嘲笑したが、彼に皮肉る元気があることが嬉しかった。


夜になれば、やはり昔に戻ったように身体を寄せ合い語り合う。

「もし空が飛べたらどうしたい?」

「君の子供たちが元気か見てくるよ。」

「君らしいな。嬉しいよ。」

飛べない私は、その夜のコーロのおかげで「もし空が飛べたら」という空想を抱けた。同時に叶わない歯がゆさもあるが、ブーメランのように孤を描き楽しい空想としてこちらに戻ってきた。

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