第13話
そんな中でも彼は時折、仲の良さそうな家族を見つけては瞳を閉じ、自分に当てはめていくような表情を見せた。ゆっくりと緑の風から現実に戻され、私を見て頭を掻く。
家庭を持つことに幸せを見出し、それが無くなった彼には、なぞらえることは事はできても、完全に戻ることはできないのだ。
経験は未来の自分を作りあげていく。今、此処にいるコーロは、同じことをしても、もう昔のコーロではない。
私は寂しくもあり幸せでもあった。私にはどうする事もできないが―もちろん彼の中に入っていくことも―、彼の瞳の奥や、過去の中には常に私がいるからだ。
複雑に絡み合う感情は私に「充実」をもたらした。
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