第8話
やがて(実に幸運なことに)彼女はコーロの妻になり、コーロの子供たちと、次々に、また早々と家族が増えていき、私は自分の家族ができたかのように喜んだ。彼らも私を家族の一員として親しんでくれた。
子供たちは私にまとわり遊び、妻はそんな子供を見守りながら家を守る。コーロは妻に家を任せ働きに出る。そのような―平々たる―日々は、冬の凍てつきさえ忘れるほどに幸福な時間である。
私は度々「私に何か力になれることはないか?」と聞いた。何か彼らの力になれなければ、この幸福が去ってしまうかもしれないという不穏な迷妄に駆られた。
しかし「君は居てくれるだけでいいんだ。僕らをずっと見守ってくれれば。」そう返されてしまう。
「それではまるで、私が何もできないようではないか。」憤る私にコーロは笑う。同じ時を過ごしているのに彼の方が格段に成長している気がした。事実、私はここに居るだけで何も出来ないのだが。
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