第7話
とあるデート日和でもありそうな穏やかに晴れた日だった。仕事に出かけたはずのコーロが急いで見知らぬ女性を連れて帰ってきた。慌て荒くなった呼吸を抑えながら私に向かい、「つ、妻にしようと思ってるんだ。」と言った。
半ば強引に、初めてのデートで連れてこられたであろう彼女は、丸く大きな目を更に大きくした。同様に、私も唖然とした。彼は先日までそんな素振りさえ見せなかったのだ。
「一体どこにいる誰がプロポーズなんてされたのかしら?」
彼女はそっぽを向き、冷淡な目でちらりとコーロを見た。
コーロは当然肩透かしをくらい、焦りを身体全体で表現し、左右に首を曲げ、頭をしきりにボリボリと掻いた。その様は壊れかけた機械人形のように見え、(実際に壊れかけていたのかもしれないが)私は笑いを堪えるのに必死だった。
その時に、彼は面白いほど不器用なのだと認識した。
彼女は一目見ただけで、しっかり者の芯の通った、強気な印象を受けた。のんびり屋のコーロとは全くの対照的で、それがまた微笑ましくもあった。(そのままの流れで尻に敷かれていくのだが。)
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