第4話
丸の内駅東改札から、桜通線ホームへと数人の人影が降りる。彼らは停車中の先頭車両に向かい、軽くノックする。
「愛知県警察です。この鉄道ジャックの目的はなんでしょうか、応答願います」
彼らは現在上前津運転指令室に派遣されている捜査員と同じ部署所属で別班の、誘拐事件などの交渉で活躍するSIT。通常県警本部に待機しているため、出動も普段に比べたら早い。今回は被疑者を説得して事件を早期解決させる役割のほかに、捜査員に注目させて乗客避難からの目を逸らそうという目的がある。ワンマン運転対応のためホームには監視用モニターが設置されているので、後方確認が容易になってしまっていた。
だが、乗務員室からの応答はない。ただ、桜通線の車両はワンマン運転を前提に、進行方向に向かって右側に運転台がある。ホーム側に運転台があるという条件で、犯人の姿が見えないというのは異常だった。
状況を確認しようと、捜査員の一人が乗務員室を覗き込もうとする。すると、ガラスが一気に砕け散った。そして発砲音。
「本部へ至急至急! 被疑者は拳銃を所持! 繰り返す、被疑者は拳銃を所持!」
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