第9話蚊取り和尚大慰問団 慰問する
手紙が届いた。
蚊取り和尚からである。困ったことに女将の代筆なしで書かれており、読みづらいくさび形の文字である。くさび形文字であるから彼の直筆であることは一目瞭然である。
「貴殿は拙僧の弟子達のことを面白く可笑しく描いるらしいことを聞いた。小説が虚構であることも承知している。弟子の四人の女性たちも口には出さないが、ひどく気にしている。拙僧も見かねて意見をする。是非、彼女たちの真実の姿を見て貰いたい」
例の四人の女たちが彼の弟子になったと書かれているが、事実かどうか知らない。僕のことを弟子と世間で吹聴しているらしいが、デタラメである。
「嘘を書きまくる小説家であっても、彼女たちをモデルとしている以上、義務でもある。この願いを聞き届けてくれねば破門する。その上で拙僧は呪詛する」
受け入れがたい脅迫文である。破門されても困らないが、呪詛は恐ろしい。四人の様子を見るだけなら差し支えあるまい。例の大島の紬と紅白パンツの鎧に身を固め、出掛けることにした。例の大島はところどころシミらしきものは残っているが、クリーニングで何とか身に着けることができるようになった。和尚は店の扉を開けるなり、僕にいきなり命令した。
「これから病院を慰問をするから、一緒に着いて来い」
突然何を言う。慰問など参加するものか。時間に余裕のある暇人ではないのだ。
「手紙に書いてあったとおりだ。彼女たちの真実の姿を知る義務がある」
僕の作品に登場して久しいが、四人の女性たちの個性が乏しいせいで見分けも付かないでいる。ドラム缶や草原に立ち尽くすモアイ島の石像に例えたが、真実を忠実に描写する写実主義を唱えた正岡子規や夏目漱石を尊敬する作家である。描写に一点の曇りがあってはならない。これまで四人の女に対しても情け容赦なく自分が受けた印象とおり表現してきた。結果がドラム缶であり、モアイ像であり、砂かけ婆であり、塗り壁であり、一端木綿、こなき爺であり、鬼太郎である。今更、一切、訂正する必要はない。
「嫌です。必要はありません」と即答した。
「拙僧に逆らうのか。師匠の言葉に逆らえば不幸が襲い掛かって来る。覚悟の上か」
売り言葉に買い言葉である。この前の阿蘇で赤牛の世話をした時には、不意の出来事で遅れをとったが、僕も一人前の男である。今日は、とことん逆らってやろうと決めた。
「今日も首に縄を付けても連れて行く」と和尚様が叫んだ。僕も身構えた。
「和尚様さん。私たちのことを世間に正しく喧伝するためとはいえ強引すぎるわ。何も望んでいないわよ。今のままで十分よ。ナツミ先生が私たちのことに関心を抱いていて下さることだけでも嬉しいわよ」
「ナゴミさん、だめよ。今度は妥協しては」とヒバリが止める。
「ナゴミの姉さんは欲がないから。夏海先生は優秀な作家よ。私たちも先生の作品の中で、歴史に残りかねないわ」とオリュウと言う女が言った。
「カミソリのオリュウ姉さんが言うことにも一理あるわよ」と厳しい指摘があった。
「そうよ、なにしろ歴史に残る作品が書ける作家だとマスコミでも評判になっているのでしょう」とヒバリが追い打ちをかける。悪い気はしない。胸襟を開いて話を聞こうと思い始めた。
「遠慮することはない。こいつは君たちの名前を覚えきれぬことを良いことに、昔、世話になった銀幕やブラウン管のスター達の名前を適当に付けて弄んでおる。拙僧は自分の弟子たちがこのような扱いを受けることを許すことはできない」と感情を逆撫ですることを蚊取り和尚が言った。和尚の下品な下ネタに、「和尚様さんは黙っていて。これは四人の問題です。四人で相談します」と、女性の一人が厳しく言った。
「分かった元締めのオタツさん」と言い、和尚様は口を閉じた。大きなお尻を外に突き出すよう四人は円陣を作りに、ヒソヒソと密談を始めた。だが、声の大きい女たちである。密談にはなっていない。和尚様との争いで興奮の収まらない僕の耳にも四人の会話は、筒抜けに聞こえたが、要領を得ないバラバラな会話である。
「それではナゴミさんにお願いする」と元締めのオタツが密談を閉めた。砂かけ婆のような顔をしているナゴミが近付いてきた。僕は口を一文字に結び、大の字に立ったままである。ところが、ナゴミの手が腕に触れた瞬間に心境が変化した。心が和んだのである。この心境の急変が何故起きたのか、理由は分からない。心身ともリラックスして、とろけてしまった。彼女が手を離すと、僕は毅然と「行きます」と応えた。
慰問団が乗る車中での会話に出て来る女性の名前には必ず付くものがあった。元締めのオタツであり、麻酔のナゴミであり、点滴のヒバリである。そしてカミソリのお竜という具合である。運転は元締めのオタツの役割であった。
車は塗装も禿げかかる古いワンボックスカーであった。行く先は有名な総合病院だった。有名人や検察に追われた政治家が使う病院である。蚊取り和尚や四人の女が出入りすることも気後れする病院であった。
「サンチョパンサ。今日こそ、四人の弟子たちの素晴らしい働きぶりを見て貰おう」と和尚様は車中で宣言した。
「元締めオタツ姉さん。今日も偉い人もいるのかしら」とナゴミが不安を訴えると、「大丈夫。気にしなくてもいいのよ。でも麻酔のナゴミさんはメンタル部分が多いから気になるのね」と答える。
「点滴のヒバリさん、今日も点滴患者が多いようよ。カミソリのお竜さんも、今日の手術の執刀医は当直明けで意識も朦朧としたまま手術室に入るようだから、注意してね」と元締めのオタツが、次々と他の女性に指示をした。
玄関に白衣の看護士たちが並び待っていた。
VIP待遇である。
有名人でも入院をされるのだろうかと気になった。我々が乗るボロ車は裏の駐車場に止めるはずだと思ったが、元締めのオタツは車を正面玄関に車を止めた。蚊取り和尚一行が、このような大勢の白衣の天使の出迎えと歓迎を受けるはずはない。無礼なと思ったが、一瞬、自分の存在が心中をよぎった。夏海惺と言う名前は知れ渡っている。仕事に多忙な彼女たちも仕事の合間を盗み、作品を堪能してくれていたに違いない。なにしろ四人の女性たちでさえ僕の価値を承知しているのである。「夏海先生、来る」と大きな垂れ幕でも懸かっているのではないかと正面玄関の壁を車の窓から見上げたが、そこまでは準備が間に合わなかったらしい。なにしろ突然に決まったことである。実は僕も心の準備をしていないのである。サイン用のペンや、売りさばく本も持ち合わせていない。看護士たちは若い女性である。サイン用ペンがなければ、熱狂する彼女たちは口紅でサインをねだって来ないとも限らない。ひそかな期待に胸を踊らせ、見すぼらしい車で乗り入れたことを後悔しながら、両腕に思い切り力を入れて、右側の重いスライドドアを開けた。ドアは苦しそうなきしみ声を上げて開いた。せめて威風堂々と胸を張り、大地に足を付けたかった。すぐに自分の想像した様子と少し違うことに気付かされた。天使たちは僕に押しのけ、遅れて車を降りた四人の女性の集まり、深々と頭を下げるのである。看護婦長らしき年長者が元締めに駆け寄り、深々と頭を下げて出迎えの挨拶した。
「みなさんが来られるのを、みんなで首を長くしてお待ちしてましたよ」と優しい女性言葉で語った。
「期待に添えるか不安ですわ」
元締めのオタツが上品に挨拶を返した。四人の女性が全員、車から降りるのを待って、婦長が紹介した。
「ヒバリさんよ」
「まあ、点滴のヒバリの姉さん。想像とおりの方だわ。凛々しくて威厳があるわ」若い白衣の天使の間からため息が漏れた。
「今日も点滴のたびに逃げ回る患者さんが居ます。そのような患者さんに、どのように対応すれば良いか見本を示して頂きます」と婦長が挨拶をした。このような場面で、ヒバリが塗り壁のような顔をしていると作者として書きたくないが、あえて書いておく。
「次はカミソリのオリュウさんよ」
「まあ、あの方が」と、またため息が漏れる。後ろの列で見えない天使たちが、どくろ首のように首をのばし、覗き見よとする。
「お竜さんには手術前の患者のウブ毛を剃って頂きます。どのような部位でも簡単にむだ毛をそってくれるそうよ。固い骨と肉が入り交じって部位でもカミソリの刃が柔らかい皮膚に吸い付くように動きます。若い看護士に見事な腕前を見せてやって下さいまた執刀医に補佐について見本を示して頂きます」
「最後はナゴミさんです」
この一声で看護士の間から、より大きなため息声が聞こえた。感激のあまりの嗚咽を押し殺す声も混じっている。失神をする白衣の天使はいないか案じられるほどであった。
「お静かに。これから大事な仕事をしていただくのです。皆さんの興奮は解りますが、なにしろ私たち看護士の基本とも言えるメンタル部分を教えて頂くのです。患者さんに安心を与えるコツを、皆さんの目で見るのです。今日に併せて幼稚園の子どもたちの予防接収日を決めました」と婦長が、事情を説明する間にも市中の幼稚園のマイクロバスが次々に隣の駐車場に入っていく。
タンポポ幼稚園、ヒマワリ幼稚園、スミレ幼稚園、・・・・・・・・。等々である。
白衣の天使たちの拍手は絶対的な権力者である婦長が制止しても、すぐには止まなかった。リーダー格の元締めのオタツさんも、もちろん紹介された。紙面の都合で割愛をさせて頂く。無念なのは蚊取り和尚さえも紹介され、天使の間から可愛い病院のマスコットにしたいわと歓声が上がった。ねたましいが女将を配偶者に得て以来、最近の彼のファションセンスは格段に進歩した。阿蘇の山で鼻水の付着した黒衣に僧衣の上に白い看板をぶら下げて人間電柱広告のアルバイトをしていた頃に比べたら雲泥の差がある。今日は古い生地で仕立て直した紋付き袴で強欲な本性を包み隠し、好々爺の格好をしている。彼のことはどうでも良い。次はいよいよ僕の番である。大作家としての道を歩み始めた僕、すなわち夏海惺が紹介がされる番である。いつでも大物は最後に登場すると決まっている。大喝采を得ることは間違いあるまい。期待に胸を膨らませた。しかし婦長が動揺した。あわてて元締めのオタツの紹介を待った。「夏海惺さんです」。元締めはひときわ大きな声で紹介してくれた。だが何の反応もない。後ろの方では互いに見合わせて、「誰。誰」と互いに聞き合っている。元締めは慌てて取り繕った。「作家です。小説家です」。「ああ」と落胆した歓声が上がった。
「知っている」。「知らない」。みんな首を横に振った。ひどく傷つく場面であった。だが写実主義を標榜する夏海惺である。恥を晒すことになるが書くことは義務である。先までの作家としての高揚感は一瞬にして吹き飛んだ。しかし良いと寛大に許した。看護士達は若く、まだ人生の苦みも知らない。夏海惺の作品は人生の苦みを知った者が読んで始めて価値を知る。これから山あり谷ありの長い人生を歩んだ後に、彼女たちは僕の作品に触れ、今日の運命的な日を思い出すに違いない。「先生は、皆さんの御活躍の現場を取材したいと言うことで同行しました」と、元締めが付け加えると、やっと歓迎の歓声が上がった。
四人の女性たちは元締めのオタツが指示したそれぞれに分かれて部署に向かった。僕は最初はナゴミについて行くことになっていた。多さんの白衣の天使が囲んでいる。ヒソヒソ話をしながらナゴミに付いていく。
「ナゴミの姉さんはあの宮沢賢治の詩をそのままに具現したような方だと言う噂よ」。
「ええ、あの花巻の有名な宮沢賢治のこと」
「そうよ。西に疲れた母あれば、行ってその稲の束を負い、南に死にそうな人あれば 、行って怖がらなくてもいいと言い、北に喧嘩や訴訟があれば、つまらないからやめろと言い、日照りのときは涙を流し、寒さの夏はおろおろ歩き、皆にデクノボーと呼ばれ、ほめられもせず 苦にもされず」と言う長い詩を白衣の天使の一人が、スラスラと諳んじたのである。
元締めのオタツが無駄話を制止した。
「ナゴミさんのお仕事は、とてもメンタルなのよ。皆さん無駄話をしないで下さい」
幼児で一杯になった待合室は泣き声でパニック状態になっている。注射に脅える一人の幼児の神経質な泣き声が引金になったらしい。それに連鎖して二十名と幼児が一斉に泣き始めたのである。五月蠅さは耳の鼓膜が破れんばかりのすさましい。
子供をあやそうと引率者たちは必死であったが効果はない。
ところがナゴミと元締めが待合室に足を踏み入れるや否や幼児達は一瞬で泣き止んでしまったのである。代わりにナゴミが泣き出しそうになっているのである。どうやら彼女は他人の苦しみや悲しみを享受する体質らしい。
「さあナゴミさんが、頑張っている今の間に済ませましょう」と言うと、元締めのオタツは、子どもと注射をする医師の間に入り、手際よく子どもに注射をさせていくのである。まるで流れ作業である。そのリズムに子どもたちも面白がって、腕を自分から出した。ナゴミの表情から苦痛が消えていた。
「ひまわり幼稚園は終わりましたよ。つぎはタンポポ園かしら」
元締めのオタツの手際の良さに医師も唖然としている。
「子どもたちも落ち着いたみたいね。ここはオタツ姉さんに任せても大丈夫かしら」とナゴミが呟いた。彼女の表情には疲労の色が浮かんでいた。だが彼女は休む暇はない。婦長が駆け込んできた。
「四号室の患者さんが、痛い痛いと叫んでいるわ。昼に手術を控えた重いガンの例の患者さんよ。今、鎮痛剤を投与すると手術に時に麻酔が効かなくなるわ。しばらくでも痛みを和らげることはできない」
「やってみます」と、ナゴミは婦長に続いて走り出した。その後を天使たちが金魚の糞のように小走りに続いた。その後に続いた。
薄い緑色のカーテンから痛い痛いと患者が苦しむ声が漏れ聞こえた。
カーテンを開けると、患者は腹部を押さえて込み苦しんでいる。ナゴミは患者が痛いと訴える腹部に手を当てた。彼女の顔が苦痛に歪んだ。
「私が苦痛を取り除いてあげる。大きく呼吸を吸って。ずうと傍についていますよ」
不思議である。打ち身をして泣き喚く息子に妻が、「痛いの痛いの飛んでけ」と呪文のように唱えると、息子が痛みを忘れて泣き止む光景に似ている。
患者はナゴミの言葉とおり、大きな呼吸を繰り返した。
「何も怖がることはないのよ」
彼女の言葉は少ない。
宮沢賢治の詩の一節を聞いたようである。
「大丈夫。すぐに眠るは」とナゴミは付き添っていた看護士に告げた。患者は催眠術を掛っていくようである。「眠たい。眠たい。母さん」と患者はつぶやきながら寝息を立て始めた。
「もう大丈夫。手術まで持ちます」
三十分もの時間が経過していた。
ナゴミに「催眠術をかけたのか」と聞くと、「そのような手を施したつもりはない。自然に話しかけただけ」と答えた。奇跡である。ナゴミは疲れ切った様子であった。
ナースステーションに帰ると、蚊取り和尚は厳しい顔で僕たちを迎えた。奇跡的な出来事を目にして興奮収まらない僕に、点滴にヒバリにに着いて行けと指示した。点滴のヒバリは針の付いたビニール管を運ぶ台車を押す看護士の後を続き、病室に入ろうとしていた。
若い看護士がカーテンを開けると、やせ細った、神経質で臆病そうな患者がベットの縁に座っている。点滴を拒絶すると言うのである。
「今日は、大丈夫。この方は伝説的な点滴の専門家よ。患者さん、腕を見せてくださいね」
看護師の紹介にも関わらず、患者は背を向けて拒絶したままである。
ヒバリはナゴミさんの力を借りたいと思ったが、それはできない。なにしろ彼女の疲れた果てた様子を見てしまったのである。ヒバリは天を仰いだ。彼女の目は、まさに生死を賭ける真剣勝負の場に望もうとする剣豪の目である。あのお化け屋敷で助平な話をする女ではない。患者は無情にもヒバリを向けたまま、自分の腕を抱え込んだ。とても点滴が出来る体制ではない。
「それでは針を刺す場所が確認出来ません。点滴に失敗し、かえって痛い思いをししますよ」と、付き添っていた看護師が患者になだめるが従わない。固くなに目を閉じ、恐怖に絶えている。患者自身も頭で分かっていても、身体が膠着して、どうしようもない状況にある。ヒバリも覚悟を決めた。深呼吸をすると、ガーゼで包んだビニールの管を口に挟んだ。彼女は「患者さんのお尻って可愛い」とおかしなことを口走った。ビニールの管を口に加えたままの声ではない。まるで腹話術を使ったような声である。驚いた患者の振り向いた瞬間に姿勢が変わった。
次の瞬間、かすかに患者の腕がハツの目に止まった。その腕を握り締めると人差し指と中指の二本の指で、ピシピシと目に止まらない素早さで叩いた。患者の青い血管が浮き出て見えたような気がした。ハツの鋭い目は、その浮き出た青い血管を見逃さなかった。まるで高い高空から舞い降り、獲物を仕留めるタカのような鋭い目である。患者も彼女の素早さと気迫に驚いていた。我に返っていると、患者の血管には点滴の針が刺さっていた。ヒバリは静かにテープで針を固定している最中であった。患者は目を閉じたままである。一瞬の出来事であった。付き添っていた看護士たちが、素早い動きに呆然としていた。患者も自分の腕に新しい点滴の針が刺されたことが納得できない様子であった。呆然と点滴の針を見詰めていた。
「終わりました」
ヒバリの声に患者もすべてが終わったことを悟った。私たちが病室を出ようとする時、狂喜する患者の声がした。
「点滴がこんなに素晴らしいものだったとは。生まれて初めて点滴の素晴らしさを知った。明日から点滴の時間が楽しみだ」と大声で叫んでいた。この声を聞いた時、汗の浮いたヒバリの顔に笑顔が戻った。
カミソリのオリュウは処置室にいた。カーテンで仕切られた二部屋には、翌日に手術を控えた患者が横たわっていた。オリュウの指には、消毒を終えた薄く鋭いカミソリの刃が挟まれている。世の悪を葬り去ろうとする必殺札仕掛け人のような鋭い目つきである。お化け屋敷で厚化粧を施し、客の冗談に腹を抱え笑い狂う彼女の姿は微塵も見えない。静かに患者の喉仏に暖かいタオルを置いた。患者は彼女に命を委ねている。彼女は患者の喉仏の形状を指に覚え込ませるように患者の毛深い喉仏を這わせた。緊張して唾を飲んだ患者の喉仏がヒクヒクと動いた。このような微妙な動きでも危険である。彼女はそれを覚えた。彼女の指は正確に形状を記憶していく。白く泡立つ石鹸を塗った。それをふき取るように彼女のカミソリを患者の喉仏の上を這わせた。患者の綺麗な地肌が姿を現せた。カミソリの刃が意思を持つ生き物のように喉仏の上をしなりながら動いているように見えた。カーテン内側で彼女の仕事ぶりを見守っていた若い看護士たちも息を止めて見守っている。
彼女は次ぎの処置室に入った。
白い肌に赤い斑点が浮く大きなお尻が目に飛び込んできた。翌日に痔の手術を控えた患者である。赤い斑点で感染症を患っているのではないかと素人目には危惧したが、彼女は驚かない様子である。 熱したタオルで手術の部位を暖めて、外科医のメスが入る部位にカミソリを沿わせた。彼女にとって人間の肉体の中で不潔な部位はない。すべて神聖な神の造作物であるかのようである。
「この患者さんの麻酔は下半身麻酔ね」
彼女が処置室で始めて発した言葉である。
周囲に待機している若い看護士も息を呑む。
もちろん、失敗は許されない。
次は麻酔針を刺す部位である。
「この辺りね」と的確に麻酔の針が入る部分を指差した。再びタオルで暖め、カミソリを当てた。突き出た脊髄の上をカミソリの刃はしなりながら動いた。手際の良い数分間の作業であったが、数十分にも長く思える充実した時間であった。カミソリのオリュウの額にも汗が浮かんでいた。
オタツとナゴミの処に行けと和尚様の指示があった。午前中に痛みを訴えた患者の手術に立ち会うと言う。隣の部屋からガラス窓越しに観察することを許された。白いタイル張りの殺風景な部屋である。彼女は白いマスクと白い頭巾に身を包んでいるナゴミは患者の傍に立ち手を握っている。彼女以外に多くの白衣に天使がいた。元締めのオタツの姿をあった。婦長が若い天使たちに元締めの手術中の動きを注意するように指示した。
「緊張する手術室で、いかに医師を補佐するか参考になります」と付け加えた。今日の手術は大変、難しい手術で患者もVIPだと言う。この手術に合わせて慰問の日が決められ、市内の幼稚園の予防接種日が決められたのである。
手術は二時間に及んだが成功した。
手術中の元締めのオタツの行動に無駄はなかった。執刀医の意志を見抜いたように器具を手渡し、汗を拭くのである。まるで執刀医と一心同体のように振る舞うのである。すべてが若い天使たちの見本として四人の女性たちの一日が終わった。彼女たちも充実した一日の後の快い疲れに酔いしれているようだった。ところがこれからがひと騒動であった。蚊取り和尚が言い始めたことである。夕食が終わった老人病棟の食堂に通された。
食堂の入り口に「蚊取り和尚大慰問団公演会」という張り紙があった。食堂に入るなり、「長崎の和尚様さんでないか」と聞きつつ、駆け寄って来る老婆が現れたのである。
「懐かしい、オカメさん。オカメさんは何故、ここにいるのか」
「覚えてくれていてくれたか。立ち話で目立つ。私は誤解をされても構わぬが、和尚様さん迷惑しよう」と言い、オカメは和尚様の袖を引き、自分が座っていた両隣に座る老人を蠅を追うように追い立てた。追い立てられた老人は未練を残し立ち去った。彼は新しい席で蚊取り和尚を敵意を剥き出しにした目で睨み付けていた。
「和尚様さんに会えるなんて、弘法大師様が夢枕に現れた夕べの夢は正夢だったのね。」
「それは正夢だ。しかも弘法大師様かね。それで私に再会できた。いよいよ悟りの境地に近付いたようだ」
オカメは相づちを打って、和尚様の言葉を肯定した。そして和尚様の手を包み込むように握った。
「すべて和尚様さんのお陰だ。人生がこんなに楽しいものだと気付かせてくれた。新しい恋人が二人も出来て、人生を謳歌しているのよ」
先までオカメの隣に座っていて、追われた二人の老人の表情が老婆が恋人の存在を告白した途端に緩んだ。和尚様が彼らのライバルでないことを知ったせいである。態度は豹変し、二人は揃ってペコリと和尚様に頭を下げて、笑顔で歓迎した。
「アラ、嫌だ。あの人たち和尚様に焼き餅焼いたんだ。この人は、私の命の恩人ですよ」と改めて二人の老人に和尚様を紹介した。
「オカメさんの命を救った人なら、自分にとっても命の恩人同様の人だ」と異口同音に二人は絶賛したのである。
「そこまで言われると身の置き所もない」と和尚様が返した。
「みんなに紹介しておこう」と婆さんは立ち上がり、病院中に響くような大声で「ホラ、皆さん。いつも話している和尚様さんですよ」と彼のことを紹介する。すると集まったみんな口から、「オカメさんの話す和尚様さんか。この世で会えるとは夢を見ているようだわ」と歓声が上がった。傲慢な和尚様だが、その彼が、恐縮するほどの褒めようである。しかし和尚様も八十歳ちかい年寄りの茶飲み話に飽きたようである。僕に紹介した。
「サンチョパンサ。長崎で話したある老婆だぞ」
「聞いた覚えはありませんよ」
「何を言う。長崎の拙僧の豪勢な寺で話したのではないか」
記憶をまさぐったが覚えていない。
「碁を打ちながら語ってきかせたろう。息子の後を追い自ら命を絶った哀れな老母のことを」
「あの自殺をされた老母の話ですか」
「馬鹿者。自殺などしておらん。このようにピンピンして元気に生きておられるのだ」
開いた口が塞がらないとは、この時の僕のことを言うに違いない。
「彼女は自殺したと言ったのは」
「馬鹿者。御本人の前で失礼なことを言うな。このように元気にしておられる」
小声で叱りつけた。
「あれは和尚様は作り話ですか」
「当然だ。船が喋るなどと言う話を本気にしたのか」
「信じろと和尚様も強要したのではないですか」
「馬鹿者、今の世の中に生きていて、そのようなことを本気に信ずる者がいるか」
脳みそがの一部が大きな音を立てて瓦解してしまった。同時に、これまで自ら信奉し恥も外聞も捨て、暴露してきた写実文学が和尚様の嘘で音を立てて瓦解する音でもあった。これまで和尚様の話を無理にこじつけるために苦闘した苦しい日々が走馬燈のように現れては消えていく。質の良い物語はスラスラと書ける。丁度、仏師が仏像を彫る時に、良い木に出会えれば木の中に隠れた仏を掘り出すように姿が現れると言うように、良い物語に出会えれば、自然に筆も進み、優れた作品になる。ところが長崎の和尚様のボロ寺で以来の物語を記録するこの作品は節だらけで拗くれた木に木造を掘るような苦難の連続であった。それに秘密結社の仲間に、どのような言い訳をすれば許してくれるだろうか。明治時代に子規がホトトギスで始めた庶民が思うことを目にすること、庶民の自分の言葉で表現すると言う伝統を密かに受け継ぐ例の秘密結社である。二度まで裏切ることになった。阿蘇の赤牛を食べさせてやると豪言し、和尚様が赤牛に同情して殺せなかったせいでドタンバでキャンセルである。始めて活字になった作品を読み、「船が喋るなど現実離れしている。馬鹿げている、おかしいなどとメンバの中からと非難轟々の声を上がったが、僕はその非難にも和尚様の言葉を信じ切って立ち向かった。
「なぜ、このような現実的なことが信じられないのか。世間には人間が未だ解明出来ない事象は山ほどある。宇宙の問題もしかり。我ら人間の問題もしかり。英語で彼女という代名詞が通ずる船が喋らないのがおかしい。喋らない船がいると同様に、中には喋る船がいてもおかしくない。船の言葉を聞こえぬ者がいるのと対極に聞こえる者がいてもおかしくない」と強引に全員を無理に納得させた。
許すことが出来ない。ところがカメと呼ばれる老婆が和尚様に助け船を出したせいで、僕は和尚様を攻める機会を失った。
「和尚様さん。若い人のあやまちは許してやりなさい」
「おカメさん、我慢にも限度あります」
「和尚様らしくない」
「こいつは人の言うことに耳を貸さないのです。一人よがわりで困っているのです」
「まあ、それでは独裁者と同じですわ。小説家と言う変わった職業のせいよ。だって変人が多いのでしょう。妄想癖、空想癖が過ぎてしまった職業病患者と思うことですよ」とカメ婆さんは口で言うが、軽蔑と哀れみ眼差しが全身を射抜いた。カメ婆さんの言葉に和尚様は相槌を打った。
「追い詰めてはいけません。和尚様の力で善導をして上げて下さい」
「彼が独裁者になり、世界に害をなさぬように頭の中に忍び込み掻き回すこともあるのですよ」
「独裁者はいけませんわ。知恵が集まりません」
無数の蚊取り和尚が紅白のフンドシ一枚で頭の中で裸躍りをし、執筆に集中できないことがるが、そのような時に彼は僕の脳みそに侵入をしていたにちがいない。それにしてもひどい。他人のことを勝手に独裁者などと勝手に決め付ける。これこそ独裁者のなす行為ではないか。
「弟子の中でも出来が悪い奴で、何度も破門してやろうと思ったのですが、そのたびに哀れになって冷たいことも出来ず困っています。後でたっぷり叱ってやります。ワッハハハ」と勝ち誇って笑った。
何がワッハハだ。大笑いする和尚様の大口にツバキでも吐き捨ててやろと近付いたが、騒ぎを聞きつけて、元締めほかの女たちが駆けつけて来た。ナゴミが僕の腕に掌を置いたので、その行為は制止された。彼女たちの姿を見て、恋人のいない老人たちが色めき立った。
「みんな別嬪さんだね」とギンギラギンに輝く目で眺めている。「みんな和尚様さんの物か」と和尚様に質問したが、「自分の人生も身体も自分の物よ。でも和尚様は人生の師匠です」と元締めが宣言した。
「ホラ、例の踊り」
和尚様はハアと声を上げたとぼけている。都合の悪いことでもあるらしい。いい気味だと思って成り行きを眺めていた。
「とぼけて。ホラ、あの踊り」
「ええ、あの躍りを」と和尚様は自分の耳を疑ったように聞き直した。和尚様もあの踊りを老婆から所望されるとは予想だにしていなかったようである。彼女の声に続き、「噂に聞いているあの踊り。冥土の土産にしたいわ」と食堂に集まった老人たちの口から強い声が上がった。
「今日は準備をしておらん。それに、このスリムな体型では駄目だ」
「老い先短い私たちには何の用意しないで慰問に来るなんて。弘法大師様に言いつけてやる」
鋭い指摘である。これでは和尚様も引くに引けないはずである。和尚様が困る様子を眺めるのは楽しい。彼に人として羞恥心が芽生えたのは、やはり女将と新生活を始めたせいであろう。ところが和尚の視線が僕に釘付けになった。
四人の女性は和尚の意志を理解した。よってたかって全員で手を引き、背中を押し別室に僕を連れ込んだ。そして帯を解いた。
「間違いが起きる困るから、彼女の目の届かない所で無闇に人前で肌を露出してはいけないと、妻から釘を刺されています」と絶叫しても無駄であった。大島を脱がされ、紅白のパンツ一丁にさせられた。和尚はヒバリに口紅を寄越せと言った。ヒバリは渋々、バックから赤い口紅を取り出し渡した。和尚様は僕の腹上に目を書き、鼻を書き、口を書いた後に。ジャンプしろと言ったが、拒絶する。すろと元締めのオタツと点滴にヒバリが両脇で腕を取り、持ち上げ、落とした。ドスンという音とともにお腹がブルルンと震えた。もう少しだなと言って、和尚様は口紅で口の部分をなぞり、新たに眉を描き、ほお紅らしきものを書き加えた。そして持ち上げて、ドスン、ブルルンである。それを数度、繰り返した。ナゴミとおりゅうが僕のヘソの周囲を見て、口元を必死に押さえ笑いをこらえている。何をさせているか明らかである。「僕には妻も子供も居ます。間違いが起きると困ります」と絶叫した。「お主の三段腹を見て誰も間違いの相手になろうと思う者はおらん。今更、恥ずかしがることもあるまい。ワッハハ」
ひどいことを言う。言動の自由など穏やかなことを言っている場合ではない。ポコポコに叩き潰して、今日と言う今日は絶縁状を叩き付けてやる。年寄りと言えど容赦をするものか。ポンポコリンに叩き全身にたんこぶを山にし、タヌキのようにしてやり、泥船に乗せて湖の中央で沈めてやる。和尚様は、僕の心中の動きなどには意を介する様子はない。
「賞を貰ったら紬の下から紅白の毛糸パンツをチラチラと世間に公表する書いているのではないか」。どこでそのようなことを聞いた。あの原稿は誰にも見せていないはずだ。
「チラチラと垣間見せることにこそ男の色気が漂うというもの。このような破廉恥で姿で人前に現れ続けていると、当局の世話になりかねません。今日こそは言わせて貰います。いつも僕に無理難題を強要する和尚様は何物ですか」
「師匠だ。それに人生の先輩だ」
「和尚様の弟子になったつもりはない。それに僕は和尚様のことを人生の先輩と思ったこともない。実生活を送る僕にとって先輩は大勢居る。イボ痔の先輩もおり、老眼の先輩もいる。育児の先輩もおり、小説を書くも先輩もいる。これ以上、僕の人生をひっかけ回さないで頂きたい」と言い捨てた。この機会だ。縁を切ってやろおうと腕を上げ掛けた。僕の殺気に気付いて、ナゴミが近付いて来て、僕の腕に掌を置いた。
「夏海先生、ハーイ、大きく深呼吸して。スーハースーハー」と複式呼吸のような呼吸法を伝授した。紫色の華を一面に敷き詰めたようにれんげ草の上をヒラリヒラリと飛び交う春のチョウチョウになった気分になった。色とりどりの華が咲き乱れる秋のコスモス畑の飛び交う秋の赤とんぼになったせつない気分になった。怒りのせいとは言え、大作家の卵である立場を忘れポンポコリンに叩きのめそうなどと大人げない気持ちになった自分を恥じた。声が大きいだけが取り柄である。この小さな年寄りを公衆の面前でボコボコにしてやろうなどと考えるとは我ながら恥ずかしいと思いながら、和尚様の姿を見ると、やはり腹が立つ。蚊取り和尚が強引に僕の袖を引き廊下に引き吊り出した。
彼は耳元に囁いた。
「病院の正面玄関で若い天使たちを前にして、よからぬことを考えたろう。暴露してやるぞ」
ドギマギと否定した。
「お主の胸に聞いてみよう」と言い、和尚様は僕の胸に耳を当てた。
「何ということを考えておる。何々。拙僧のマスコット人形を作り、売り出す。ごま塩頭ではまずい。完全な禿頭にしよう。禿頭を磨くツールもオプションで売り出す。大島紬を着せて、地球印を商標を持つ大島紬であるから世界平和と地球の安寧にも効果がある。恐ろしい毒蛇ハブの模様は魔除け効果もあると思わせ善男善女に高く売りつけようと考えたであろう。拙僧もここまでは我慢して許せる。だが、もし拙僧の不人気が災いして売れない場合には、ドラム缶を縦に立てたような体型の女性たちにビキニを着せて売る。それでも駄目ならも狂牛病にも縁のない阿蘇の赤牛の毛皮を模したビキニ姿にして健康祈願に役に立つと売り込む。何とひどい奴だ。赤牛の了解も得ず無断でイメージを活用しようと考えるなどとは。そればかりではない。これまで彼女たちをドラム缶を立てた姿と表現してきたが、今後は阿蘇の赤牛に似ていると表現しようと考えたはずだ」と和尚様は耳元で一気にささやいた。否定はしない。だがジュウーシーで狂牛病にも縁のない阿蘇の赤牛は目出度い、しかも可愛いから食用にすることを禁ずると言い始めたのは和尚様ではないか。そのような気高い牛である。決して四人の女たちのイメージを損なうこともないはず。和尚様は続けた。
「それでも売れない時は、着せ替え用の服も用意しよう。きっと売れるはずだ。そして爆発的なブームが巻き起こる。そうなればしめたもの。全国的なコンテストを開こう。和尚様の頭をワックスで磨き光らせるコンテストや四人の女たちの着せ替えコンテストだ。審査委員長はもちろん僕だ。何と無礼なことを考える奴だ」と和尚様は激怒する。
「目の前の老人たちの前で、この恥知らずな計画を暴露してよいか。夏海先生よ」
目は悪魔のごとき脅迫者の目になっていた。真っ青になった。和尚様の言うことは否定できない。僕は動揺し、僕がどのような妄想を思い描こうと和尚様に関係ない。彼にとって何の実害もないはずだなどと思う余地も反論する余地もなかった。日本国憲法が保証する言動の自由などで和尚様に戦いを挑むことなど思いも寄らなかった。
「夏海先生、また一緒に踊りましょう。そして心を開くのよ」と、ナゴミが寄りかかってきた。
僕は、その日、紅白のパンツ姿と言う恥ずかしい姿で昨年年の瀬を大掃除で踊った踊りを公衆の面前で披露することになった。老人たちは腹を抱えて笑ってくれた。往生しかけた老人までベットごと運び込まれ、鑑賞した。踊りを見て、元気に若返り第二の人生をやり直すと退院した者もいたらしい。オカメ婆さんも二人の恋人と田舎で同棲生活を始め、芋作り励んでいるらしい。もちろん、その日のヒーローは僕であるが、フィナレーは四人の女たちの天使のように美しい歌声であった。世界的ソプラノ歌手四名による歌声を想像することです。
その日を境に老人病棟の大半の者が退院をしてしまい、病院は次の時代を目指して設備投資を始めたらしい。医療の技術は日進月歩であり、新しい時代を見据えた改革にちがいない。僕は阿蘇の草原での生活で快癒した痔が再発したら、この病院で手術を受けようと思っている。若い看護士達の真剣な眼差しや四人の女たちの価値を素直に受け入れた医者たちの謙虚な姿に感動したのである。生命を委ねても大丈夫だと断言できる。
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