44話「ロリへの愛は世界を救うか?⑯~中ボス戦③~」

ネタバレ全開ver

http://suliruku.blogspot.jp/2017/03/44.html

★★★


魔法と魔法がぶつかる魔導師同士の戦い。

兵器同士の戦いなら、空爆しまくって敵軍をボロボロにした後に、大物量を進軍させるのがアメリカ軍のテンプレが地球最強なのだが……ここは空爆が困難なダンジョン世界。射程距離が微妙すぎる魔法が大活躍できる環境なのだ。

魔法は応用がとても効く。銃器、重機、爆弾、航空機の代用ができるくらい、極めれば何だってできる。

発展すればするほど高コストになっていく兵器と違って、自分で開発すれば金もかからない。消費するエネルギーも低コスト。

なんでもありすぎて、対処が困難だからこそ――プラチナバッジ冒険者同士での戦いは、少しでも相手の手を読むのを間違えば死ぬのだ。


「いきなり精神破壊波(マインド・クラッシャー!)」


魂をぶっ壊す光を出す魔法で、俺は先制攻撃をした。しかも、拡散して反射しまくるように仕様を変更してある。少しだけ光が俺に当たって魂が辛い。

屋内で、この魔法を回避するのは不可能。というか屋外で使ったら食の神に当たるから使えない。詠唱が長い代わりに、光速で飛ぶから、発動と同時に相手が死ぬ凶悪な魔法なのだが――


「黒霧(ダーク・ミスト)」


ドナルド先輩は空を飛ぶ魔法と同時に、身体に宿した魔族に命令して、周りに黒い霧を展開する魔法を発動させたのだ。この霧には、光を吸収・減衰させ、急速に無害化させる効果がある。だが、それはどうでも良い。

わざわざドナルド先輩が飛行魔法を使って、こっそり床から浮かびあがっているという事は――明らかに床を盛大にぶっ壊す系統の魔法を使う気満々だ。

黒い霧のせいで、ドナルド先輩の口元が見えないが、恐らく、そういう展開をしてくるに違いない。


「飛行盾(スカイ・ボード)」


俺は仕方なく、空を飛ぶ魔力の板を作り出し、それに乗っかって浮かび上がる。魔族を宿したドナルド先輩と違って、手の数勝負になれば俺に勝機はない。ドナルド先輩は俺が勝利する可能性を少しづつ削り取るかのような感じに、慎重すぎる戦術で戦いを挑んでいるように思える。


「爆裂弾(ボムボール)!」


俺は黒い霧を吹き飛ばすために、紅い弾丸を生成して射出。ドカーンと霧の中で炸裂させた。

爆風が霧を吹き飛ばした先には――ドナルド先輩が顔に笑みを浮かべて――やはり呪文を唱えている。

内容から考えて――風と雷を合体させた広範囲すぎる複合魔法だ。やばい。呪文が完成した時点で俺は死ぬぞ。地下空間という密閉された場所じゃ逃げ場がない。奇跡的に回避できても強風でバランスを崩し、次の瞬間、トドメを刺されて、あの世行きだ。これ。

だが、ドナルド先輩の魔法が発動し、吹き荒れる直前、俺は思い出した。そういえば俺――


「電撃暴風波(サンダーバースト)!」


カグヤとニャンコ、チーズ校長の三人から――たくさんのコンドームをもらったんだ。悪徳都市で作られたゴムだから、きっと絶縁効果があるに違いない。そう信じて――俺はコンドームの束を魔法の鞄から出し、前方へと放り投げる。ついでに昔使っていた銃器も投げ捨てた。

空気を切り裂いて進む雷を、コンドームは容赦なく弾き、銃器へと残った電力が殺到する。

だが、雷をどうにかしても、強風が持つエネルギーを殺さないと詰むから――俺は詠唱していた呪文を発動させた


「空気操作(シルフ・コントロール)!」


空気を操作し、強風を受け流す空気の壁を作る。強風が持つ異常なエネルギーが俺の横を通り過ぎるが、まだまだ俺の不利は変わらない。周りが人工物に囲まれた地下空間では土操作が使えない。床の上を壊せば、大量の土砂がドバドバと入ってきて生き埋めになりかねないからだ。

かといって下の床を壊すのは、もっとオススメできない。食の神の肉壁にも到達したら、その瞬間、俺は食われて死ぬだろう。

だから俺は――


「電撃暴風波(サンダーバースト)!」


ドナルド先輩の雷と風の複合魔法を――俺は魔法の鞄から黒い装甲車を出して防いだ。見事に車の燃料に引火し、爆発炎上を引き起こす……よく考えたら、俺は金持ちだ。数百万円程度の装甲車なんて、湯水のように消費しても良い富裕層である事を忘れていた。それに、軽装甲車の類は、恐ろしいくらい大量生産されているから安い。超軽量のジープに装甲つけただけの代物に過ぎなくてコンパクトだ。

さぁ、ドナルド先輩……次はどのような手でくる?残念ながら、複合魔法の性能が凄まじすぎて……後手の先手を取らないと、対処できそうにない。

俺が最初に呪文を詠唱したら、確実に発動した魔法ごと封殺されそうだ。威力が違いすぎる。しょぼい魔法じゃ強力な魔力障壁で防がれるから、誘導弾の類も意味がない。


「いやぁ、なかなかやるねぇ……トモヤ君。人生最後の魔導決戦というのも中々に乙なものだよ。じゃ、これはどうだい?対処できるかなぁ?」


ドナルド先輩の小さな詠唱。声は聞こえないが、口の形で詠唱の内容はわかる。

炎と土の複合魔法だ。わけがわからん。地下空間で何を考えているんだ……?

あ、そうか。ないなら出せばいいんだ。 魔 法 の  鞄 か ら  土 を だ せ ば  無  問 題 だ。

 

「灼熱土砂(マグマ・ブロヴ)!」


ドナルド先輩の魔法の鞄からドバドバと出た土が、灼熱のマグマへと変わる。金属が溶け、周りの壁までゆっくり融解し始めた……こんな酷い場所で、飛行盾から落ちたら俺の人生は物理的に蒸発して終了するだろう。

明らかにやばい。やばい。ドナルド先輩が次に取る手がわかるぞ。

風を強化しまくった複合魔法を使うに違いない。空気操作で防御できないような風を起こして、俺をマグマへとドボーンと落とす気だ。あんまり本気で戦っているように思えないのに、確実に殺しにきている。


「はぁ、トモヤ君には失望したよ……次で終わりだね。これだけ手間暇をかけてあげたのに……僕を止める事すらできないのかい?これじゃ白ちゃんの未来は真っ暗になってしまうよ?」




~~~



(ノ゚ω゚)(ノ゚ω゚)ちなみに地球で戦ったら、どんな感じなの?


(´;ω;`)遥か遠距離からドカーンとされて、主人公死ぬ。


(ノ゚ω゚)(ノ゚ω゚)ダンジョン世界限定での強さかよ!?





(´;ω;`)久しぶりの魔法解説


飛行盾(スカイ・ボード)

(´;ω;`)空を飛べる魔力の盾だお。盾に使った魔力を消費して飛ぶから、省エネで素晴らしいお。

というか、SF物で空飛ぶボードなんて、テンプレすぎてありふれた代物すぎて、新鮮さのかけらもないと思うお。



精神破壊波(マインド・クラッシャー!)

(´;ω;`)魂をぶっ壊す有害な光を出す魔法だお。光速で飛んでくるから、凄い射程距離だけど、屋外で使うと食の神に当たって、食われる可能性があるお。

詠唱が長いけど、発動と同時に相手に当たるから、空間転移してくる魔族相手だと、それなりに有効な気がするけど、転移位置予測してないと当てられないお。




黒霧(ダーク・ミスト)


( ;∀;)光を吸収する魔法だお。黒い霧を出すから攪乱用にも使えるけど、そういうのはガス手榴弾で代用できるから、マインド・クラッシャー対策用の特化魔法だお。


複合魔法


( ;∀;)無理やり、違う属性を合成して発動する魔法だお。高い魔力がいるから、主人公には絶対、真似できないし。発動タイミングが同時じゃないとできないから、物凄く人間より機械向けの魔法だけど、魔力で機械がぶっ壊れるお。

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