23話「ロリのために労働しているが、俺はロリコンではない終~爆破された部屋のミステリー~」
ネタバレ伏線ver
http://suliruku.blogspot.jp/2017/01/23.html
俺たちは急いだ。
「おいこら!?服をちゃんと着ろ!」
途中で白真珠が縞々パンティーだけしか履いてない恥ずかしい格好で、部屋を出そうになったが、慌てて服を着がせて急いだ。白真珠の縞々パンティーを見て良いのは俺だけで良い。ロリコンではないが、そう思えるんだ。
ブラドさんが寝泊まりしている部屋は分からないが、爆発した方角で、だいだいの場所は分かる。
選挙事務所の東側の庭に隣接している部屋だ。そこへ行ける廊下はたった二つ。もしくは庭から部屋に入るしかない。昼間、あっちこっち歩き回ったから建物の構造を俺は知っている。
ドナルド先輩の寝室は、俺たちとは正反対の方向にあり――俺たちが通っていない廊下や窓からしか……ブラドさんの部屋に行けないはずなんだ。
「やぁ」
爆発したブラドさんの部屋の前に――面倒臭そうながらマイペースなドナルド先輩がいた。
白真珠は容赦なく、氷魔剣で氷の長い剣を作り出し、ドナルド先輩の喉元へと突きつける。
「あなたが犯人ですね!3秒以内に答えなかったら刺します!」
「いやいや、違うから……ほら、僕が犯人だったらもっと慌てているはずだろう?早とちりは良くないよ?」
「あ、確か昼間会った人だ!」
和やかな雰囲気が場に溢れた。ドナルド先輩のふざけた態度のおかげで白真珠の心が不思議と安らいでいるようだ。俺は念のために――
「それよりも先輩……ブラドさんは大丈夫ですか?状況を確認させてください」
「部屋をみなよ」
ドナルド先輩が指で部屋の中を指し示す――部屋は見事に真っ黒焦げだ。高級そうな家財道具の数々が、一瞬の爆風で吹き飛ばされ、表面が壊れて塗装が剥がれ落ちている。
ブラドさんが寝ていたと思われるベッドには……黒焦げの丸くて人型の何かがある――
「……ま、まさかブラドさんは……なんて事だっ……!こんな有様ではブラドさんみたいな老齢の人が生きていられる訳がない……寝ていたなら、肺が焼かれて死んでいるはずだっ……!」
「そんなお祖父様っ……!まだ、ほとんど会話してないのにっ……!」
「いや、別の部屋に眠ってたから無事なんだけどね。さすがに依頼人が死んでたら、僕はもっと慌てていると思うよ、うん。
あと、ベッドの上にある黒焦げの物体は、大きな熊の人形だから。ブラドさんの死体じゃないよ」
ドナルド先輩がクスクスと笑っていた。どうやら俺たちに勘違いさせて楽しんでいたようである。
うむむ……人生を生きるのが面倒臭そうなのに、イタズラ小僧の精神を失っていないお茶目さがチャーミングなのかもしれない。きっと大人の女性からモテモテなのだろう。
白真珠の方は、先ほどの慌てっぷりを隠すためか大きな声で――
「あ、そんな展開だと思ってました!僕のお祖父様はこの程度の事では死なないって信じてますから!……ところで犯人はどこですか?ドナルドさんは犯人の姿を見ましたか?」
「そうだね……これをやった犯人が最大の問題かな……」
「えと……犯人はどこにいるんです?」
「いやそれがね……。僕が来た時には、この場には誰も居なかったのさ。君たちは犯人を見たかい?」
俺は疑問を感じた。この部屋に来れるのは……廊下を渡る二つのルートか。もしくは窓から侵入するしかない。俺達とドナルド先輩が別々の廊下から来たのなら、犯人の侵入ルートは庭に面する窓しかないのだ。
「……いや、先輩、それ以前に犯人はどこから入ったんです……?この選挙事務所って、金バッジ冒険者がウヨウヨ居ますよね?」
「それも問題だね、トモヤ君。確かにこの部屋に来るには警備に当たっている金バッジ冒険者が巡回している通路や庭やら、罠を仕掛けた部屋の窓から入らないといけない」
「この部屋に、庭に面している窓がありますよね?そこから魔法を撃ち込んだんじゃ?あの庭からなら、空を飛べば忍び込めそうですし」
「いや、それはありえないよ。ほら窓の所に近づいて庭を見てみなよ」
ドナルド先輩に言われて、俺は黒焦げになった部屋へと入り……壊れた窓辺へと近づいた。窓ガラスは粉々に砕け散り……その破片は部屋の外へとほとんど散乱している。
これは廊下側から爆発する魔法を、部屋に打ち込んだ証だ。庭から魔法を撃ち込んだら、少なくとも窓ガラスの破片は、部屋の内側にゴミの山のごとく大量に落ちるはずである。
「つまり犯人は……廊下を通って、この部屋に来た……そういう事ですか?先輩」
「そうさ、犯人はこの通路を通ってきたはずなんだ。先ほども言ったけど、この部屋以外の部屋には爆弾が仕掛けてあって、隠れる事も難しい。部屋の扉や窓を開けた途端、部屋ごとドカーンっていう悪辣な仕組みだからね。
僕が通った廊下には犯人の気配はなかったけど……トモヤ君達が通った通路に不審者はいたかい?」
「いえ、見てません……」
「そうかい……それじゃ一体、犯人はどこに隠れているのやら……」
「……もしかして……護衛側に内通者がいる……?」
「うん、この寝室にブラドさんが泊まるっていう偽情報を知っていたのは、護衛の冒険者だけなんだ。内側に潜んだ敵と、謎の移動手段を持つ暗殺者。少なくとも容疑者は二人以上いるだろうね。護衛側は僕以外、軍隊のように集団行動しているし、一人で勝手に行動すると目立つよ。あとはそうだなぁ……トモヤ君が犯人だったというオチだったら、全てに説明が付くよ。
そちらの通路に潜んで、白真珠ちゃんと一緒に何も知らない顔でこっちに歩いてきたとかね?ほら、ちょうど人数も二人だし」
「分かりました!犯人はドナルドさんです!部屋をわざと爆破して犯人じゃない振りをしているんです!単独行動しているなら、アリバイって奴を証明できませんよね!たぶんっ!」
「いやいや、僕が敵側ならブラドさんはあの世へと行ってるよ?どこに寝ているのか知っているんだしね」
「お師様!考える事は全部、任せました!」
白真珠は思考する事を拒否し、ただの小さい女の子へと戻った。
肉体労働は銀髪ロリ娘、知能労働は俺という扱いらしい。頼られるのは嬉しいが、警察の得意分野で頑張るのは辛すぎる……こういう時は、敵を罠にかけるのがてっとり早いな。
「……俺に考えがあります」
「おや?良い案が聞けそうだ」
「俺たちが主導権を握れば良いんです。相手が何を目的に行動しているのか分かっているんですから、それを妨害すれば俺たちの勝利になります」
なお、今まで全く会話に参加してないが……金バッジ冒険者たちが、廊下の向こう側から俺たちをチラチラ見ていた。プラチナバッジのドナルド先輩と対等に話し合っている姿を見て、恐れているようだ。
……うむむ、きっと金バッジの中に犯人が紛れ込んでいるに違いない。
「分かりました!やっぱり犯人はドナルドさんです!消去法で考えました!」
「白ちゃん……僕が自作自演で部屋を爆破なんて……すると思うのかい?それにほら――」
ドナルド先輩はゆっくりと言葉をつづけた。
「僕にはこんなアホな爆破事件を起こす動機がないじゃないか」
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(ノ゚ω゚)(ノ゚ω゚) 真実は!
(´・ω・`)常に複数!
(ノ゚ω゚)(ノ゚ω゚)迷いすぎだろ!?
ゆっくり戻るよ!
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