24話「ロリのために囮作戦を考えたが、俺はロリコンではない①~反撃するターンだ!~」

ネタバレ伏線ver

http://suliruku.blogspot.jp/2017/01/24.html


俺はブラドさんがいる部屋の扉を叩いた。やはり、この部屋の扉も真っ白で少し汚れが目立っているだ。

さらに続けて扉を2回叩いてコンコン……地域と会社によって礼儀作法が異なるから適当だ。


「ブラドさん、失礼します」」


そう言って、俺が扉を開けて部屋に入ると――昨日とは違う真っ白で清潔そうなスーツを着たブラドさんが居た。スーツの区別はつかないが、白という色は汚れやすいから、毎日、新しいスーツを着ないと清潔感が出ないはず。

不機嫌そうなブラドさんが俺の顔を睨みこむように見て――


「ドナルドから聞いたのだが……お前には現状を打開する良い案があるそうだな?」


「はい、策を説明する前に、現状の状況を説明したいと思います。お時間はよろしいでしょうか?」


「言ってみろ。くだらぬ案ならお前はクビだ」


俺は笑顔を浮かべて言葉を続ける。


「まず、ブラドさんは対立候補と思われる勢力から命を狙われている……そう仮定すると犯人の可能性が高いのは、都市長選挙に立候補しているバグダイン氏です。長年の汚職で溜め込んだ財産を使えば、プラチナバッジ冒険者ですらダース単位で雇える財力があると思われます。まぁ……選挙終了後に口封じされる可能性が高いから仕事を請けるプラチナバッジは少ないでしょうが。

それにバグダイン氏の評判は悪いですからね。どれだけ大金を積まれても、冒険者側も命が惜しいですから断る冒険者は多いでしょう。。

ですが、このまま状況を放置すると……敵に主導権を握られて、ブラドさんは投票開票日を迎える前に死ぬ事になるでしょう。暗殺は仕掛ける側が圧倒的に有利ですし」


「ふむ……それで?そこまで言うなら、お前なりの改善策があるという事だな?」


「今の消極的なやり方を変えて……こういう方法はどうでしょうか?南にある装飾都市ウォーターロードは、悪徳都市とホワイトパール海を結ぶ交通の要衝で、もちろん米軍が駐留しています。この悪徳都市の米軍と違って、そこまで腐敗は浸透してないはず。物理的にかなり距離が離れていますしね。

だから、開票日の間まで……現地の米軍に保護してもらうのはどうでしょうか?アメリカから見ても、この都市の腐敗は異常すぎます。莫大な額の賄賂が政財界に流れて居なければ、とっくの昔に民主主義の名のもとにアメリカの傀儡政権が出来上がっているはずです。毎回、支持率0%の前都市長が当選している時点で、独裁体制とみられているでしょうし」


「……なるほど、ワシの身の安全を守れる最良の手段という事か」


「いえ、これにはもう一つの目的があります」


「ん?」


「バグダインは当然、ブラドさんが米軍に保護される前に、殺害しようとするはずです。もしもブラドさんがアメリカの支援を本格的に受けられたら……例えバグダインが賄賂で投票数を操作しても、それは無効試合になり、民意と超大国を味方につけたブラドさんが当選します。

さすがに超大国を敵に回そうと思う冒険者は居ないでしょうし。アメリカ側にも利益がある提案ですから、多少の時間はかかっても飲んでくれるはずです」


「なるほど……つまり何だ?ワシを餌にバグダインの手先どもを引きずりだし、捕まえるなり、殲滅するという訳だな?それがお前の考えた打開策か?」


「ええ、そうです」


「ふん……外見どころか中身まで真っ黒だな。だが良いだろう……幾らでもワシを囮に使え、この悪徳都市を真っ白に浄化するためならば、手段を問う暇はないのだからな。都市長になるために多少のリスクは許容しよう」


「ありがとうございます」


やった。俺の案が認められた。これでブラドさんを守れる。プラチナバッジ冒険者が単純計算で二人居て、近接戦闘が凄い白真珠が戦力になり、金バッジ冒険者が数十人いる事を考えれば……こちら側の戦力はプラチナバッジ4人相当に値するだろう。

幾らなんでもバグダインの人望で、プラチナバッジを4人以上雇えるはずがない。暗殺という仕事は地味だし、評価されないし、大人数でやるとマスコミや記者が嗅ぎ付けて『口止め料を払え!さもないと報道するぞ』と叫んでくる仕事だ。これで俺たちの勝利は手堅いぞ。


「待て、その案を受け入れるが……もう二つ要求がある」ブラドさんが言った。どうやらすんなりと話を受け入れてくれたようではないようだ。


「はい?」


「あの銀髪の女の子には、黒いドレスより白いドレスが似合う。ワシの娘が着ていた白いドレスがあるから、今回の事件が終わったらそれをくれてやろう。ワシの娘も胸が子供の頃から大きかったから、サイズはぴったりのはずだ」



「はっ……?」


白真珠が孫娘だという事に気がついているのだろうか?それとも、気づかずにこんな事を言ってるのか?俺には分からない。呆けた返事を返してしまった。


「そして最後の要求だが……お前はどんな色が好きだ?ワシは白色が好きだ。混じり気がない純白が大好きだ。清純で潔白で純粋な色に染まった世界をワシは作りたい。答えるが良い、元プラチナバッジ冒険者よ」


「俺は……そのう、あ、青と白の縞々模様が好きです」


一瞬、白真珠の芸術的な縞々パンティーを思い出してしまった。あの縞々の美しい模様を毎日に見れると思うと、俺の心は元気になるばかりだ。ありとあらゆる模様の縞々を履かせてあげたいと、そう素直に思える。


「むぅ……?なのに何故、お前の服装は黒色なんだ?まるでチンピラか悪の組織の諜報員ではないか?」


「汚れても目立たなくて便利な色ですので。あと、夜間戦闘だと風景に紛れ込めますしね」


「……ワシは黒は嫌いだ。邪悪な悪を象徴する色だ。白色という色を犯す最低の色のように思える。だからワシはスーツもパンツもシャツも全部白色が好きだ」


「……はぁ……?」


「もちろん車も白だし、この選挙事務所も白色だから選んだ。ワシを護衛する冒険者も比較的、経歴が白い連中を選んでいる。まぁ……お前のようにプラチナから銅バッジだか、黒バッジだかに転落した真っ黒な奴もいる訳だが」


なんだろうか?白色は……汚れやすい色なだけに、ブラドさんの言動から危ういものを感じる。


「白は良いぞ……白い色こそが世界を救う……ワシが都市長になった暁には……真っ黒な輩は燃やして真っ白に浄化してやろう……」


この時……俺はブラドさんの理想に……小学生の頃に習った『純水に魚が生存できない』という言葉を思い出した。この人の政策の果てに待つものは――誰も生きていけない地獄な気がしたのだ。

白真珠の祖父だから信じてあげないといけないのに、なぜ、俺の心はこんなに偏屈なのだろうか?

さらに言えば……白真珠に白色のパンティーを履かせたら凄い清楚さが出そうだが、やはり縞々模様のパンティーが正義だと俺には思えるのだ。


---


(ノ゚ω゚)(ノ゚ω゚) ブラドさん怪しいですね。


(´・ω・`)ミステリーでは、怪しい奴は陽動。黒幕は殺人しそうにない奴なんじゃよ?


(ノ゚ω゚)(ノ゚ω゚)(ブラドさんが生きたまま物語が進むと、孫娘と同棲している主人公が邪魔だろうな、常識的に考えて)

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