17話「ロリに100億円を貢いだが、俺はロリコンではない③~これが金バッジ冒険者の実力だ~」

(ネタバレver)

http://suliruku.blogspot.jp/2017/01/1700.html


魔氷剣に慣れさせるために、俺は白真珠をマンションの2階にある訓練施設へと連れて行き、一通りの使い方を覚えさせた。魔法の氷を生産し、妨害行為や攻撃に使えるだけのシンプルな武器だが、吸血姫の身体能力を活かせば、それなりに活躍できる……俺はそう思えた。敵の数が多い時は障害物代わりになるだろうし。

ついでに購入した黒いドレスは空気の抵抗を受けないから、白真珠は前よりも気軽に走れて、機動力が上がり、まるでダチョウさんのごとく、いや新幹線みたいな速度で走っていて、白真珠の足はロリ娘らしい小さな手足なのに機能美にも満ちていて不思議である。

しかし、まぁ、なんだ。新しい問題が発生した。子供に新しい玩具をプレゼントするに等しい行為だから――


「……魔氷剣……使いたいなぁ。手頃な悪党いないかなぁ……凍らせたいなぁ……」


マンションの外に出た途端、白真珠がこんな物騒な発言をしたのだ。街中で大量の魔力を消費する行為はやばい。やばすぎる。

ハイテク機械は魔力との相性が悪すぎて、電子回路辺りがぶっ壊れやすいのだ。白真珠が遊び半分で大きな氷の塊でも作ってみろ。付近の交通インフラは麻痺、魔力対策をしていない安い機械が次々と壊れまくって、とんでもない賠償金が発生してしまうのだ。おお、恐ろしい。賠償金を支払える経済能力があるだけに、本当に恐ろしい事になるぞ。

悪徳都市の弁護士ども相手に、口と口による激戦を繰り広げる展開は嫌すぎる……。


「白真珠……我慢しろ。練習室ならともかく、街中で派手に使うと警察を呼ばれて面倒――」


しかし、俺の心配を余所に――面倒なトラブルは向こうからやってきた。


「兄貴ー!あいつだぁー!あいつがいきなり俺を攻撃してきた鬼畜ロリコンなんだ!銀髪ロリ娘を手篭めにしようとしている糞野郎なんだよぉぉぉー!」


声の先には、先ほどの三流悪役にしか見えない不良少年がいる。その隣に、金ピカの飾りをジャラジャラ付けたオッサンが立っていた。スーツもゴールド色。時計もブランド物の黄金カラー。指にはダイヤの指輪がジャラジャラ……金の使い方を分かっていない成金のようなオッサンが居たのである。


「ロリコンはいかんぞ!ロリコンは駄目だぞ!でも、ロリ娘って最高だな!ロリロリ通り最高!よぉ!我が同志よ!」


……しかも、ロリコンという属性付きの残念なオッサンだ。これからロリコン成金と呼んであげよう。

ロリロリ通りと言えば、悪徳都市の西側にある有名な場所だ。合法ロリ娘達が大量にいて、性的なサービスを提供し、都市中のロリコンどもを満足させるというエッチィ所なのである。

まぁ、中には本当に幼い少女達を取り扱っている店もあるらしいし、ひどい場所になると小さい娘を嬲り殺しにする店もあるそうだ……どう考えても、億円単位の料金が必要な内容だから、利用する奴なんて居ないと思うのだが……悪徳都市は何でも商売にするからな。そういう都市伝説みたいな店が存在しているかもしれない……。


「ロリ娘は最高だなっ!特にロリなエルフ娘とか良いな!俺よりも年齢が上なのに胸が貧相で小さくて、お兄ちゃんって猫撫で声で呼んでくれるから最高だな!うん!」


この発言をしているロリコン成金は、どう見ても酒を飲みすぎて泥酔している。足はゾンビのような千鳥足。フラフラと落ち着かず、誰かが見てないと路上で寝て大変な事になりそうだ。


「今日も超高級焼酎はおう?を3リットルほど飲んでしまったんだな!貧乳エルフ娘のアララたんが注いでくれる焼酎は最高に美味くて……トイレに行きたくなったんだな!うん!」


……ロリコン成金は、言っている事がむちゃくちゃだ。酔っぱらいは酔っている最中、自分で何を言っているのか分からない連中なだけに、構うだけ無駄である。

しかし、三流すぎる不良少年はロリコン成金を焚きつけて、俺と戦わせようとしていた。


「兄貴は凄いんだぜ!圧倒的な魔力で魔物どもをぶっ殺して金バッジを獲得した天才なんだ!こう見えても17歳で俺より年下!」


「老けすぎだろ!?40代のオッサンだと思ったぞ!?」俺はツッコミを入れてしまった。


「へへへへっ!銅バッジっ!後悔しても遅いぜ!兄貴の最強の魔力でボコボコにして、隣の小さい銀髪ロリ娘を可愛がってやるよ!ベッドの上でな!兄貴は小さい娘が大好きなんだよぉー!」


なんて事だ。こんなにも可愛い白真珠を汚すだと?いや、それ以前にベッドに連れ込む事に成功しても、お前ら返り討ちにあって、二度と女を抱けない体になるだけだと忠告した方が良いのだろうか……?


「おおっ!こんな所にトイレがっ!」


ロリコン成金が、近くの街路樹にションベンを開始した。白真珠が不思議そうに首を傾げて考え事をしている。不良少年は頼りにしていたロリコン成金の駄目っぷりに焦っている。


「兄貴!?それはトイレじゃないっス!マンションの街路樹だからっ!酔っ払ったら駄目ですよ!」


「俺は酔ってねぇよぉー!ここはトイレだろー!」


「いや、酔っている人が言うセリフですって!マンションの奴らに俺が怒られるでしょうが!」


「宴会場はここか?いや、二次会だっけ?酒持ってこーい!ロリ娘をもってこーい!アララたんっー!好きだぁー!結婚してくれぇー!小さい胸より大きい胸の方が好きだけど、毎日もんでいたら大きくなるはずだぁー!」


「兄貴ー!?お願いだから正気に戻ってくれぇー!」


「道路はゴミ箱だろぉー!分かっているぞぉー!えれえれ~」


「うわぁ!?ゲロを吐きやがった!?」


……この二人、やる気があるのだろうか?俺の戦う気力が削がれて、殺る気ならぬ戦う気が起こらない。

白真珠の方は考え事が纏まったのか、白い指先をズビシッ!とロリコン成金達に向けた。


「分かりました!アナタ達は漫才師ですね!」


「ちげぇよ!ほら!兄貴っ!あいつが敵ですよ!とんでもないロリコンなんすよ!」


不良少年が扇動した。分かりやすい情報を教えた。するとロリコン成金はゲロを全て吐き終えてスッキリした後に俺を睨んでくる……酒に酔っていて目元が落ち着かなくて……戦闘以前の問題だぞ、これ……。


「敵?魔物かぁー!見えるぞー!ゴブリンだなぁー!退治してやるぅー!」


どうやらロリコン成金は……酒の飲み過ぎで認識能力がゴブリン並に低下してしまったようだ。

おかげで虫けらを踏み潰す感覚で魔法を詠唱している。魔法の内容は爆裂弾(ボム・ボール)だ。紅い弾丸を生成して、何かに接触した途端、大爆発を引き起こす人気魔法である。

ロリコン成金は膨大な魔力を消費して、10個の赤い弾丸を作り上げつつある。これが直撃したら俺は即死だろう。というか、認識能力が低下しているから何処に撃つつもりなのか、さっぱり分からん。

それと……、以前、俺が説明したように……この魔法は欠点だらけだ。対処方法は幾らでもある。


「誘導弾(イヴァル)」


俺は長い呪文の詠唱が不要になったカスタマイズ魔法を発動した。誘導能力が極端に強化された、白い小さな弾丸が生成されて、ロリコン成金が作った紅い弾丸を次々と貫く。

そうすると――接触したら大爆発を起こすという性質がある以上、問答無用で10個の弾丸が大爆発を引き起こし、ロリコン成金に爆風と熱を浴びせた。彼は爆発エネルギーで空を飛び、コンクリートの地面を何度も跳ねてボインボインーと跳ねまくり、空飛ぶ豚と化したロリコン成金の後ろを不良少年が追いかけていく。

つまり、なんだ……魔法の特性を理解している俺の圧勝だった訳だ……酔っ払いに勝利しても自慢にならないが。


「俺は……酔ってねぇ……アララたん最高……」

「兄貴ぃー!」


これでロリコンどもの戦意が失せたはずだ……と言いたいが、酔っ払いは酔っている間の事は何も覚えていない生き物だ。

きっと、明日になったら、またやってくるだろう。回復魔法使えば治る傷だし。

クイクイッ、気付けば白真珠が俺の袖を掴んでいた。何やら欲求不満を訴えるような不満そうな顔をしている。可愛い。


「ぼ、僕の活躍する場面がどんどん削られている気がします!普通、新しい武器を手に入れたら、それで活躍したりするのが戦隊ヒーロー物の常識なんですよ!お師様!」


「いや……ちょうど良いのが分からんが……厄介なのが来たぞ」


「はい?」


俺の言葉で視線を、道路へと向けた白真珠が驚いた。道路の向こう側から三台の暴走トラックが、車道を外れ歩道に乗り上げ、不良少年とロリコン成金をプチッと潰して――俺たちがいるタワーマンションの玄関付近へと迫ってきたのだ。

……うむむ、どう見ても、最近の連続爆破テロに関係があるトラックである。いや、この悪徳都市の事だから単なる便乗犯の可能性もある訳だが。


「暴走トラックだぁー!?これはきっとバグダインの仕業ですよね!お師様!」



ーー



(ノ゚ω゚)(ノ゚ω゚) らららー


(´・ω・`)うらららー


(ノ゚ω゚)(ノ゚ω゚) (トラックテロネタって、結構危ないんじゃ……?現実で大活躍しすぎてますよ?)

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